報連相が「滞る職場」「徹底される職場」の境界 なぜ基本的な仕事をできない社員が増えたのか
さらに、「何かある? 今なら5分くらい聞けるけど」と、「今なら5分くらい聞けるけど」と付け足すと、5分ですむように端的なコミュニケーションに努めてくれるので、効率的な対話になります。整理されたコミュニケーションにすることを目的に、あえて「5分」と区切っているのです。
さて、「報・連・相」のうち、相談はともかくとして、報告と連絡は、本来組織の人間としてしなければならない義務といってもいいでしょう。
しかし、頭では義務と分かっていても、30年前も報告や連絡を怠る部下は珍しくはありませんでしたし、自分の意見を言わない部下も大勢いました。
上司に実践してほしい「攻めの報・連・相」
昨今は、その数もウエイトも増加傾向にあるのも事実です。SMAPの「世界に一つだけの花」がヒットした2002年頃から、日本特有の同調圧力もゆるくなってきたのか、「あえて自分の意見を言わなくてもいいのでは」と思う人も増えたのです。そうした時代に育った「ゆとり世代」、「悟り世代」と呼ばれる世代に、特にその傾向が強いと指摘する人もいます。
そうした環境であればこそ、上司の方から報告と連絡を促す「攻めの報・連・相」をぜひとも試して欲しいと思います。
特にマイナス情報はできるだけ早い報告や連絡を受けたいものですが、その意に反して時すでに遅しというパターンが後を絶ちません。
例えばあるSIer(システムインテグレーションを行う業者のこと)では「2分の1の法則」という、「プロジェクトメンバーの2分の1が『ヤバイ』と感じている時は、必ずトラブルプロジェクトになる」という法則があるそうですが、問題が表出するまでは絶対に沈黙しているそうです。
なぜなら「ヤバイ」という報告をするのは“仲間を売るに等しい”というメンタリティーがあるため、最後まで沈黙を貫くのだそうです。
仲間を守るためにマイナス情報を報告しないとか、その報告がまるでリークであるかのような認識は、結果的に会社に損害を与えてしまう悪しき習慣ですから、マネジメントでその悪循環を断ち切って欲しいと思います。
それには具体的な報告を求めて、さらに各論での意見を求めることです。「〇〇さん、△△△の件、どうなってる?」と、具体的な報告を上司の側から求め、さらにその報告から得られた情報に基づいて、「△△△の追加分を予算内に収めるための方法について、〇〇さんの意見は?」といった感じで。
意見を求める際、意見はあるのに伝えてこない部下に関しては、総論で尋ねると一般論的な返答になってしまう危険性があるので、さらに突っ込んだ各論で訊くのがミソです。ただしいきなり各論からでは、部下が返答に窮してしまうかもしれないので、総論的な質問を振ってから、各論に落とすという方法が好ましいかもしれません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら