いち早く徹底解説、京急「こだわりの新造車両」 回転シートに2つのトイレ"同社初"を4両に満載
側面の行先表示器は従来よりも大きい。上段に日本語、下段に英語と、多言語を同時に表示できるよう縦幅を広げた。外観で興味深いのは、運転室の後ろのあたりにある縦に細長い窓。宇佐美さんは「サスティナの標準としてここに窓を付ける思想はなかったが、展望席を設けるコンセプトだったため『小さくてもいいので、どうしても付けたい』と車体メーカーに苦労してもらった」と振り返る。戸袋スペースの都合もあって、苦心の末にこのような形状になったという。
京急は新造の20次車を5月の大型連休明けに、朝の通勤時間帯に走る「モーニング・ウィング3号」でデビューさせる。現在は三浦海岸駅を始発として、オールクロスシートの2100形(8両編成)で品川駅まで運用している座席指定列車だ。着席して通勤できる列車の人気は根強いという。
5月6日以降、途中の金沢文庫駅まで20次車4両編成で走り、同駅で前に2100形を連結して12両編成にする。駅によって乗車する号車が決まっているため、新造車両に乗車できるのは三浦海岸と横須賀中央の両駅からの利用者。乗車時間が比較的長く、トイレや電源コンセントを活用する機会は多そうだ。
他社線も走れる仕様
朝にひと仕事終えた20次車は、日中は従来の4両編成の車両のように普通列車として走ったり、ほかの編成と連結して快特や特急、エアポート急行として活躍したりと、さまざまな種別・行先で柔軟に運用されることになりそうだ。必ずしも快特だからクロスシート、それ以外はロングシート、と決まっているわけでもないという。
相互直通運転をする都営浅草線や京成線、北総線にも乗り入れられる仕様になっていて、条件さえ整えば成田空港発着の列車などに使うことができるが、デビューから当面の間は、京急線のみで運用される。
加えて20次車はイベント列車用として強みを発揮することが期待されている。営業企画課課長補佐の今井真史さんは「営業企画としてもイベント列車に対応できるものにしたいと要望した」と話す。同社は、これまでも「リラックマ」や「北斗の拳」など人気キャラクターとのコラボや、車内で三味線・琴の生演奏が楽しめる「みうら河津桜号」といったユニークな貸し切り列車を運行しており、こうした担当部署のニーズを開発当初から取り入れた。
従来はロングシートの通勤用車両をイベント列車に仕立てていたが、「20次車のクロスシートは手動で対面のボックス席にできる」(今井さん)といい、親子連れといった参加グループによって柔軟に変えられる。初めからトイレに手洗い設備があるため、保健所の手続きなどにも対応しやすい。
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