いち早く徹底解説、京急「こだわりの新造車両」 回転シートに2つのトイレ"同社初"を4両に満載

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同社でとくに人気が高いのが、沿線に工場があるキリンビール横浜支社とタイアップした「ビール電車」だ。ビールが飲み放題で、さまざまなイベントで車内を盛り上げながら、京急川崎―小島新田間(4.5km)の京急大師線を2往復する。同線で運行するのは、京急川崎駅停車中に構内のトイレを使ってもらう時間が確保できる、という理由もある。

20次車のバリアフリー対応トイレ=2021年1月(写真:京急電鉄)
20次車の男性用トイレ=2021年1月(写真:京急電鉄)

これまでも一応、車内には簡易トイレを設置していたが、“非常用”であって通常の利用は想定していなかった。20次車を使えば大師線以外の路線でもビール電車のような企画が実施しやすくなり、イベント列車の需要を深掘りすることに繋げられる。

だが1つ気になる点がある。京急は区間によっては時速120kmで営業運転をしている。揺れる車内のトイレ、とくに男性用で用が足せるのだろうか。車両課の宇佐美さんは「手すりがあるので安心して利用してほしい。扉は引き戸になっていて、場合によっては寄りかかることもできるため、仮に後ろに倒れそうになってもひっくり返ることはない」と強調する。

JRが「E235系」なら京急は20次車

京急は2月25日、JR東日本横浜支社と共同で「神奈川県の観光流動の創出」に取り組む、と発表した。コロナ禍で落ち込んだ県内の観光活性化に向けた「競合する両社の垣根を超えた共同プロモーション」の位置付けだ。3月31日までは第1弾として横須賀市を舞台に設定し、両社の駅や車内の媒体を使って「ヨコスカネイビーバーガー」をPR。第2弾は4~6月に「京浜臨海エリア」で展開する。

JR東日本と共同の2社連携ロゴで「E235系」と並んだ京急20次車(画像:京急電鉄)

見逃せないのが、キャンペーンのために作成した「2社連携ロゴ」。左側にはJR東日本が2020年12月に横須賀・総武快速線で運転を開始した新型車両「E235系」をデザインした。右側の京急の車両には、今回投入する20次車が早速採用されている。キャンペーン第1弾の一環で、横須賀市の飲食店で配布するコースターにも車両のイラストが描かれる。

こうした細部にも京急が20次車へ込めた期待の大きさが感じられる。車両課の宇佐美さんと営業企画課の今井さんは「短時間の乗車でも特別感を抱いてもらえるいい車両ができた。通勤とイベント列車、両面で楽しんでもらいたい」と口をそろえる。4両編成2本は京急の車両全体からすると小さな存在だが、今後大きく活躍する可能性を秘めている。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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