社長解任騒動に揺れる富士通が野副元社長へ反論会見、拭えぬ権力闘争疑念とガバナンスの課題
秋草相談役が野副氏に注意したが、聞き入れられなかった、このために信頼関係が損なわれた、富士通の掲げる倫理規定「fujitsu way」に反する、社長に求められる高い倫理観と鋭敏なリスク感覚に欠ける、という説明は、一応筋が通っている。
だが、1度注意しただけで、2度目にはもう社長に辞任をつきつけ、受け入れなければ解任する、というやりかたはいかにも性急だ。
野副氏自身は9月25日に初めて聞いた、という「注意」も、秋草相談役から1度だけ、間塚会長や、他の役員からは一言もない、取締役会で議題に上ったこともない、というのも不可思議な話だ。
さらには、実際に反社会的団体と交際があったと認定されたわけでも、インサイダー取り引きや金品の授受などの違法行為があったわけでもない。この点は富士通側も、なかったと認めている。野副降ろしありき、と見られても仕方がないだろう。
社長辞任理由に関する不適切な情報開示も問題だ。だが、そういう開示をしなければならなかったガバナンスのほうがより深刻な問題だ。
長らく取締役の座にあり陰のドンと目される秋草相談役が6月に取締役を外れ、相談役となる。社外取締役も知識創造論の野中郁次郎・一橋大学名誉教授が、戦略経営論を専門とする石倉洋子・一橋大学大学院教授に交代するなど、取締役会メンバーも入れ替わる。
これよってどれほどの改善が図られるのか。富士通のガバナンスにとって本当の試練はこれからだ。
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