感染者の自殺率が上昇「猫の寄生虫」の怖い生態 人の脳を占拠、マインドコントロール状態に
ピロリ菌は民族によって遺伝子の変異が異なっており、これをもとに人類のたどった足跡を推測する研究があります。なかでも大分大学医学部の山岡吉生教授はピロリ菌から人類の壮大な移動経路を描き出しました。
それによると、私たちの祖先がアフリカを出た5万8000年前ごろからピロリ菌は人類とともに広がり、3万年前にはアジアに到達、5000年前ごろには東アジアや太平洋一帯に広がりました。
5300年前のミイラからも発見
もう一つの経路は、アジアからシベリアを通り、当時陸続きだったベーリング海峡を渡って、北米から南米へと南下したというものです。古くから人びとを悩ませてきたらしく、5300年前の氷漬けのミイラの胃の中からもピロリ菌の遺伝子が見つかっています。
ピロリ菌そのものは、2~3回ねじれた形状で、4~8枚の鞭毛(べんもう)を持っています。私はこれまで、健康診断でピロリ菌は一度も見つかっていませんが、ピロリ菌をもっていない人は食道炎や十二指腸潰瘍に悩まされることがあります。ピロリ菌は過剰な胃酸を中和して、胃液の逆流を防ぐ効果があり、アレルギーを抑える、という研究者もいます。意外に役に立っている面もあるのです。
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