災害大国ニッポンの「高速道路」次への備えは この冬、相次ぐ災害に見舞われた教訓とは

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特に高速バスは、震災の発生翌日には仙台や福島などと東京を結ぶバスが大増便され、通行に支障のなかった東北道を通って、受験シーズンまっただ中の人生がかかっている学生たちの重要な足となった。

JRの在来線では、首都圏と東北を結ぶ各線は一時運転を見合わせたが、翌日には全線で運転を再開。そのため、常磐線では「品川-いわき間」の特急を仙台まで延長運転するなど、新幹線の不通にある程度は対応できた。

常磐線 特急ひたち・ときわ(写真:日和 / PIXTA)

しかし、本来なら大動脈になるべき東北線では、新幹線開通以前、ほぼ30分おきに上野と仙台、盛岡、秋田などと結んでいた特急の復活はなく、移動の主力は航空機と高速バスに委ねられた。東北道が無傷であったことで救われた人が多かったことを思うと、災害時にいくつかのルートが寸断されても残された手段でカバーできたことは、今後のよいお手本になるだろう。

マス・メディアでも情報発信を

こうした代替手段の情報伝達という意味では、マス・メディアが十分な役割を果たしたとはいいがたい。これは以前から気になっていたことだが、台風などで交通機関が寸断された場合、不通区間はくどいほど繰り返し報道されるが、「どの手段なら移動が可能なのか」はほとんど伝えられない。

例えば今回なら、新幹線不通時に東京から福島や仙台に移動したい場合、「どこから何に乗って」「どれくらいの時間がかかるのか」といった総合的な情報提供は、テレビのニュースや情報番組ではほぼなかった。

インターネットの記事では、代替手段を図示しながら説明した親切なものも見られたが、マスコミにはすべての情報が集まるわけであるから、「どこが不通か」だけではなく、「どうしたら不通区間を移動できるのか」まできめ細かく伝えるべきであろう。

情報感度の高い人は、積極的にスマホなどで情報を集め、的確な代替手段を確保できるかもしれないが、たまにしか長距離移動をしない人や情報弱者は、新幹線が不通だと聞いても、すぐには高速バスが頭に浮かばないだろうし、チケットの買い方や乗り場もわからないだろう。

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