災害大国ニッポンの「高速道路」次への備えは この冬、相次ぐ災害に見舞われた教訓とは

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そんな中で高速道路会社がこうした判断を下したのは、「ドライバーにも理解されるようになってきた」との考えからであろう。

高速道路が閉鎖されるような風雪時には、並行する幹線国道も通行できない可能性があり、先を急ぐドライバー、特に長距離トラックの運転手などにとっては、通行できるぎりぎりまで閉鎖しないでほしいという思いもあるだろう。

日本の物流の多くを担うのは高速道路を走るトラックだ(写真:takahiro.048 / PIXTA)

しかし、荷物のオンタイムでの配送よりも安全を優先する考えが、運送会社や荷主の間にも定着すれば、予防的な通行止めへの理解も広がると思われる。

その後も1月10日に福井県内の北陸道や中部縦貫道(どちらもNEXCO中日本の管轄)でも1500台を超す車両の立ち往生が発生するなど、近年の異常気象は事前の予想を超える災害をもたらすケースが多い。適切な予防的閉鎖は、今後も高速道路会社の重要な判断業務の一つになるだろう。

震度6強の地震では新幹線の代替手段にも

2月13日の夜、東北地方を中心に広い範囲で強い揺れを感じる地震が発生した。東京の自宅で就寝しようとしていた筆者も、10年前の東日本大震災を思い起こすほどの揺れに飛び起きてテレビにかじりついた。

東日本大震災の余震と思われるこの強い地震で、福島県相馬市内の常磐道の道路わきの斜面では大規模な土砂崩れが発生。通行止めとなったが、復旧は早く、4日後の17日には通行が可能となった。

「天災は忘れたころに……」とよく言われるが、東日本大震災から間もなく10年になろうとするタイミングでのこの地震は、あらためて高速道路の地震対策の重要性も思い起こさせてくれたし、すぐに復旧したことは、「その対策」ができていたことを示すものでもあった。

この地震では、首都圏と東北を結ぶ人の移動の大動脈である東北新幹線が発生から10日間も不通となり、両地域の行き来が困難になる中、航空路線と高速バスが常磐線の特急の延長運転などと併せて、代替機能を果たしたことも特筆される。

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