「再エネ電気を買いたい人」に届く驚きの仕掛け お金の送金と同じ理屈を使った電力取引の正体

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みんな電力は、発電所をほとんど持っていない。ホームページ上に「顔の見える電力」発電所一覧があり、107の発電所の写真が並ぶ。すべて太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど再生可能エネルギーによる発電。規模は出力容量8kWの太陽光発電所から、6万5990kWのウィンドファームまでさまざまだ。1カ所だけ、東京・世田谷に自社の太陽光発電所(39.6kW)がある。

107の発電所の多くは固定価格買取制度を使って送配電事業者に電気を売り、みんな電力は、送配電事業者を通じて個々の発電所で発電した分の電気を受け取る(あらかじめ個々の発電所とみんな電力は契約を結ぶ。この仕組みは、特定卸供給と呼ばれる)。

ここまでは、電力の小売事業者であればできること。みんな電力の場合、同社が開発した電力トレーサビリティシステム「ENECTION2.0」により、需要家の企業が30分単位で、どこの発電所からの電気をどれだけ買っているかを把握できる。発電所の発電量などのデータ、使い手の企業の電力消費のデータも30分ごとにわかり、パソコン上に表示される。このシステムは、仮想通貨を可能にしたことで知られるブロックチェーン技術を使って構築された。

電力トレーサビリティシステムの開発を振り返る三宅さん(撮影:河野博子)

再生可能エネルギー100%を目指す企業の世界潮流

みんな電力は現在、約500の企業や団体、個人約6000世帯に電気を販売し、契約容量は約10万キロワット。全国107の発電所からの電気を「特定卸供給」という仕組みを使って供給し、日本卸電力取引所からの購入分はない。

みんな電力のホームページには、丸井グループ、戸田建設、日本郵船、コメダ珈琲店、日清食品、世田谷区などよく知られた企業や団体名がずらりと並ぶ。背景には、「RE100」という国際イニシアティブがある。

「RE100」はRenewable Energy 100%の略称。自社で使う電力すべてを再生可能エネルギーにより作られた電気とすることを目指す企業の連合体だ。イギリスの国際団体「The Climate Group」、ロンドン発祥の国際非営利組織で温室効果ガス排出量をはじめさまざまなデータの開示を企業に促す「CDP」が事務局を務める。

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