「再エネ電気を買いたい人」に届く驚きの仕掛け お金の送金と同じ理屈を使った電力取引の正体

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「地産地消」という言葉がある。厳密には、ある限られた地域の中で作ったものを消費するということを指す。地球規模の取引が活発化し、私たちが食べているものにも、使っている電気にも、遠く離れた世界各地で作られたものが混じるが、なかには持続可能ではない方法で作られたものもある。それを避けるために素性の明らかなものを使いたい、という人々の思いが、「地産地消」への関心を広げた。

しかし、厳密な意味での電力の地産地消は無理だ。そこで、みんな電力は、発電所のある地域と電気を使う場所をつなげる地域間連携に力を入れた。それを他社も使えるシステムへとさらに拡充できないか、と考えている。拡大版の電力の地産地消を目指している、ともいえようか。

「原子力の事故はまた起きる」

三宅さんは2007年まで関西電力の技術者だった。電気工学が専門だが、原子力も勉強し、原子炉主任技術者の資格も持っている。2004年8月、福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機で起きた配管破損、蒸気噴出事故では、作業員5人が死亡、6人が重軽傷を負った。

「原子力しかないという雰囲気で、間違いを認めたがらない組織のありように問題を感じた。原子力発電の事故はまた起きる、と思い、辞めました」。ビジネス戦略コンサルタントを経て、2016年にみんな電力に入った。誰が作った電気か選べる仕組みができたら、もっと電気の由来に関心が高まるし、作り手と使い手がつながる面白さも出てくるのではないか、と考えた。

北千住マルイでは、自分が取り組むエコな活動にシールを張ってもらうコーナーが親子連れの人気を集めていた(撮影:河野博子)

RE100の場合、加盟企業が「うちが使う電力は100%再エネ由来」と宣言すれば認められるわけではない。当然だが、事務局の審査で客観的に認められなくてはいけない。

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