「周遊券」の旅、現代の割引切符で再現できるか 国鉄時代に存在した便利な切符はほぼ姿を消す
さて、それでは「昭和」の懐古話はこのくらいにして、「令和」の現在、かつての周遊券のような鉄道旅は可能であろうか。新幹線の延伸で都市間は便利になったものの、いっぽうで国鉄というひとつの組織からJR各社に分割され、さらに並行在来線まで別組織になったため、かつてのようなさまざまな地域を線路で繋ぐような旅はそもそもできない。
また、割引切符も基本的に各社ごとの発売なので、東京から鉄道で出発して、なおかつ目的エリアででも鉄道が乗り放題になるようなものはほとんどない。
昔のような旅にこだわるより、運賃の安いLCCで北海道へ飛び、新千歳空港駅で「北海道フリーパス」を購入して道内の旅をするなど、現代にマッチしたスタイルをおすすめする。下記におもな割引切符の名称を列記するので、これはと思うものを検索してみてほしい。
「北海道フリーパス」(JR北海道)
「北海道&東日本パス」(JR北海道とJR東日本)
「週末パス」「三連休東日本・函館パス」「大人の休日倶楽部パス」(JR東日本)
「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」(JR東海)
「四国グリーン紀行」「四国フリーきっぷ」「バースデイきっぷ」「四国再発見早トクきっぷ」(JR四国)
「旅名人の九州満喫きっぷ」「みんなの九州きっぷ」「ぐるっと九州きっぷ」(JR九州)
*ここに挙げたのはおもなもので、このほかにも地域限定、期間限定切符などがあるので各社ウェブサイトなどを参照
現代にも「おすすめ」パスがある
特筆しておきたいパスがいくつかある。まずは「秋の乗り放題パス」。「青春18きっぷ」の秋版ともいえるが、「青春18きっぷ」の知名度は高いのに、こちらは知られていない。しかし、3日連続ながら3日間というのがリーズナブルで、2020年から自動改札にも対応している。暑くも寒くもない、いい季節に旅ができるのがいい。
「北海道&東日本パス」は連続する7日間1万1330円なので、1日当たりの額は最安の割引切符だが、「青春18きっぷ」では利用できない青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行が含まれる。発売当初は5日間有効だったものが7日になり、時間に余裕のある利用者向けではあるが、格安なので9月の3連休などで利用する人も多い。
JR四国の「バースデイきっぷ」は誕生月に使える割引切符だが、同行者も割引を受けることができる。
「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、東海地域のローカル私鉄も利用できるので、私鉄も含めた鉄道の旅に威力を発揮する。「旅名人の九州満喫きっぷ」に至っては地下鉄や路面電車含めて九州内の鉄道がすべて乗り放題になる。これらは鉄道に乗ることが目的の旅に特化した割引切符といえよう。そのため、JR路線のみの乗車でこれらの割引切符を利用してもあまりお得感はないかもしれない。
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