地方テレビ局が直面する「窮状」と新たな挑戦 宮城民放4局が「ネットサイマル」で得たもの

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テレビがスマホでネット同時配信される時代に、地方局はどのように生き残りをかけるのか(写真:metamorworks/PIXTA)

宮城県に拠点を置く民放4局、東北放送、仙台放送、宮城テレビ放送、東日本放送が合同でインターネット同時配信のイベント「LIVE MIYAGI」を2月14~28日に実施。実際に宮城県内で放送しているローカル番組を、同時にスマートフォン、タブレット、パソコンに向けても配信するというものだ。

本来は競合である4社が揃い踏みするのは、この取り組みが総務省が予算を搬出している「地域IX・CDN等を活用したローカルコンテンツ配信効率化等促進事業」の一環として実施されたからだ。

本来はローカル局が制作する映像コンテンツを各地域でネット配信する実証実験を行い、ネットサイマル(ネット同時配信)の時代に地方のインターネット基盤を確認し、整えていくための予算だ。

しかし、LIVE MIYAGIの目的は単なるネットインフラの確認だけではない。主に広告収入で事業を行っている放送局にとっての課題、自治体の壁を超え収益の幅を広げられるのか。生き残りをかけた可能性を模索する実験でもあった。

ネットサイマル配信時に広告を「差し替え」

LIVE MIYAGIでは全ローカル民放局が、イベント参加型ライブ配信アプリ「LivePark」を用いてネットサイマル配信を行った。番組そのものは単なるストリーミング配信だが、県外からアクセスした場合、CM枠はインタラクティブCMへと自動的に差し変わる。

楽天イーグルスオンラインショップのクーポンが表示された(写真:LivePark)

LiveParkでのCM視聴中にアクションを起こすとCM関連商品のクーポンを獲得できる仕組みが盛り込まれており、今回は宮城県内に球団を持つ楽天が協力し、通信販売で地元名産品セットなどが割引価格で購入できる電子クーポンが発券された。

このプロジェクトを進めてきた宮城テレビ放送・総務局技術推進部長の阿部和彦氏は「ローカル局は地域内、われわれならば宮城県に関連した情報を発信する番組を制作していますが、全国には宮城県出身の方も数多くいらっしゃいます。また楽天球団のファンに向けた情報発信も地域に限定されたものではありませんし、コロナ禍で増えているお取り寄せグルメの情報発信など、地域外へのローカル情報発信には多くの未開拓の可能性があります」と話す。

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