テレ朝の視聴率と番組CM収入の不都合な真実 時代に合わなくなったテレビ広告指標を斬る
各社の第3四半期決算資料を分析していて気になったのがテレビ朝日だ。
決算資料を基に、2018年度からの局別プライムタイム(19時〜23時)平均世帯視聴率の推移をグラフにした。
テレビ朝日のプライムタイム平均世帯視聴率は3年連続で上昇、今年度の3Qまでの平均では王者日テレと同率1位に並ぶ絶好ぶりだ。またグラフにすると、10年前までは圧倒的に強かったフジテレビの凋落ぶりにも改めて驚く。
ここで、この期間の四半期ごとの局別タイムCMの収入額推移を見てみると、まったく異なる光景が見えてくる。
タイム収入も新型コロナ感染拡大の影響を受け、全局とも今年度1Qでガクッと下がっている。ただタイム収入は、スポット収入のように急回復の様子は見えない。これは3Q、4QのCM枠が売られた今年度前半は、まだ自粛の空気が強く、広告主も積極的に広告に投資するマインドではなかったためだろう。
それより不思議なのはテレビ朝日だ。視聴率で王者日テレに迫り、ついに同率1位に並んだはずだが、この3年ほどの間のほとんどの期間、タイム収入の金額ではフジテレビやTBSより下の4位に甘んじている。
この理由を解き明かすデータも、決算資料の中にある。「個人視聴率」だ。
視聴率は50年以上もの間、「世帯視聴率」という指標が使われてきた。世帯視聴率は、モニターとなった全世帯の中で番組を見た世帯の割合を示したものだ。その世帯で何人が見ているかはまったく関係ない。
一方、個人視聴率は昨年4月に新たに導入された。モニターとなった全世帯に住むすべての人数のうち、何人が番組を見たかの割合を示すものだ。
昔は、テレビは一家団欒の場で、家族みんなで見るものという考え方が根本にあった。もちろん、技術的に家族の中の誰が見たのかを調査する方法がなかったせいもある。しかし核家族化や1人世帯の増加で、テレビは自室で、1人で見るなど人々の生活パターンが変わった。またテクノロジーの発達によって調査方法も進化し、調査対象の世帯の誰が見たのかという個人視聴率というデータを取れるようになった。
個人視聴率で4位転落のテレ朝
ある局の決算資料として公表されている「13〜49歳の男女」の個人視聴率の、2018年度から2020年度3Qまでの推移を見てみよう。世帯視聴率とはだいぶ異なる様相なのが見て取れる。
日テレがダントツに強い1強となり、世帯視聴率では日テレに並んでいたテレビ朝日が4位に落ちてしまう。そして4位だったフジテレビが2位に浮上、これにTBSが迫るという形になる。
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