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テレ朝の視聴率と番組CM収入の不都合な真実 時代に合わなくなったテレビ広告指標を斬る

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  • 氏家 夏彦 メディア・コンサルタント
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広告主は今や視聴者がどんな属性かを分析し、自社のターゲットになるかどうかを見極めて広告出稿を判断している。これは、ネット広告で重ねた経験値によるものだ。ネット広告は、ユーザーの居住地、性別、年齢、購買履歴など非常に詳細な属性がわかるうえ、広告を見てほしいユーザーを狙い撃ちするターゲティング広告を打てる。

さらに広告が購買につながっているのか、どれだけ広告に投資すればどれだけの効果が上がるのかなどが容易にわかる。この便利さを経験してしまった広告主は、テレビ広告の曖昧さに不満を抱くようになった。昨年4月からの個人視聴率導入はテレビ局側がその不満に応えたものだ。

また今では、1社が独占的に提供するいわゆる「視聴率」だけでなく、いくつものマーケティング会社がさまざまな指標を提供し、分析し、広告主は多面的に広告効果を測定できるようになった。

これまでは視聴データを生かして機動的にスポット広告枠を購入しようとしても、テレビ局が出してくるのは大雑把な広告枠だけだった。しかしそこにも新しい潮流が生まれようとしている。スポット広告を「何月何日のこの番組の前に打つ」などというピンポイントの購入がネット上でできるシステムが生まれた。

高齢者向け番組量産では生まれない価値

実は個人視聴率も、13〜49歳の視聴率も、ピンポイントでの広告枠販売も仕掛けたのは日本テレビだ。1強のポジションだからできるともいえるし、こんなことができるからダントツの1強でいられるともいえる。

テレビ広告費がネット広告費に逆転されたことを過大にとらえ、「テレビ広告はもうダメだ」などという論調をよく耳にするが、ネットとは比べようもない圧倒的なリーチ力がテレビにはまだある。

テレビ広告は高額だというイメージがあるが、広告が1人当たりに到達するコストでみると、テレビはネットの2分の1〜3分の1程度と、はるかに割安。アメリカと比べても、日本のテレビ広告はかなり安いといわれている。

今、テレビ局に必要なのは、世帯視聴率に引きずられ高齢者向け番組を量産することではなく、若い世代に見てもらえる番組を作ること。そしてテレビ広告の価値を高める努力だ。この点では日テレが大きく一歩、抜きん出ている。

テレビ広告にはまだ成長の可能性があるし、テレビ局にはまだまだやれることはたくさんある。やらなければ自滅していくだけ。そんなテレビの未来が垣間見えた2020年度第3四半期決算だった。

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