「二度と結婚しない」と誓った彼女が再婚した訳 「ご縁とタイミング」はこうしてやってくる

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結婚話が出る前の話である。順一さんは興味深そうにその計算を聞いて、「例えば僕が彼女の家計に毎月5万円を入れたら、破綻は何年延びますか?」などと質問。婚姻届は出していなくても自分たちは家族だと思っていると言ってくれた。金銭感覚の違いで別れてしまった隆志さんとは大違いだ。美里さんは心がほどけていくのを感じた。

結婚して丸2年。美里さんはもともと住んでいた1DKの分譲マンションは物置にして、ほぼすべての時間を順一さんが借りている賃貸マンションで過ごしている。

「私のマンションとほぼ同じ間取りです。いずれは2人で広めのマンションを買います。最後はいい老人ホームで余生を過ごすのが私の野望です」

仕事のストレスがなくなると浪費もなくなった。朝5時起きで2人で近所を散歩し、デニーズでモーニングセットを食べるという「すでに老人のような生活」をしていると美里さんは笑う。夕方は料理の仕込みをしながら自宅で仕事をし、17時半には帰宅する順一さんを待つ。平均すると3時間程度は晩酌する。日々の至福時間だ。

「2人ともおしゃべりが好きで、興がのると踊り出しちゃうときもあります」

離婚を経てつかんだ等身大の幸せ

順一さんに姉たちがいて、家族の中では両親の世話をはじめとした「しっかりした長男」であることを求められ続けてきた。20代と30代でそれぞれ結婚したが、相手の女性も依存心が強いタイプで、心優しいけれど自由人な順一さんとは合わなかったようだ。

「男っぽい性格の私とは合っているのだと思います。お姉さんたちの影響なのか、女言葉が自然と出てくるような少年っぽい人です。私の実家でみんなで集まっても、夫がいそいそと食器の片づけをしていたり。割烹着を着せて、『ジュンコさん』なんてあだ名をつけると本人も『ジュンコよ~!』なんておどけています」

美里さんは1回、順一さんは2回結婚に失敗している。しかし、その苦い経験がなかったら現在の自由で穏やかな生活に感謝することもできなかったはずだ。彼らと別れた人たちも今頃は同じように等身大の幸せをつかんでいるかもしれない。

 

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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