『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』--信頼と市場の原理《宿輪純一のシネマ経済学》

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 さらに、「美人投票」もこれと似た相手の心理を読む似た事例である。経済学者のケインズが金融市場における投資家の行動パターンを説明する話として示した。

ケインズは、投資家は「写真の最も美人だと思う人に投票し、“最も投票が多かった人”に投票した人達に賞品を与える投票」と考えられるとした。投票者は「自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」と説明した。
 
 つまり、市場では、基本的には経済のファンダメンタルズが反映され、適正な価格になるはずであるが、実際にはそうはならない。必ずしも数字の良い投資対象が高くならず、そうでない投資対象が安いとも限らない。その時の市場参加者の考えで、価格が決まるということである。すなわち、美人投票と同じなのである。市場の状況を読むことが重要なのである。
 
 市場は相手があってのこと、その相手をどのように読むか(信用するか)が勝負の分かれ目になるのである。

写真:(C)2010 フジテレビジョン/集英社/東宝/FNS27社

しゅくわ・じゅんいち
映画評論家・エコノミスト・早稲田大学非常勤講師。1987年慶應義塾大学卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。非常勤講師として、東京大学大学院、(中国)清華大、上智大学、早稲田大学等で教鞭を執る。ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。財務省・経産省・外務省等研究会委員。著書は、映画評論家として『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『アジア金融システムの経済学』(日本経済新聞社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA

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