企業や飲料も「ダウンサイジング」が進む必然

日本社会の「縮み化志向」は何をもたらすのか

ダウンサイジング志向は日常生活の中でも随所に現われている。総務省の家計調査によると2020年の2人以上世帯の年間消費額は月平均27万7926円で、コロナ前の2019年に比べ5.3%の大幅減少となった。

コロナ禍で縮小化が顕著なのが葬儀や法事だ。都内の寺院の住職は、「コロナ禍の前は40~50人の参列は当たり前でしたが、今は10人いるかどうかという状況ですね」と漏らす。

「コロナ禍におけるお葬式の実態調査」(2020年9月 鎌倉新書)によると、約9割の葬儀社がコロナ禍で「参列者は減少した、また今後減少していく」と回答している。葬儀の小規模化は以前から見られていたが、コロナ禍以降は一層進んでいるようだ。

外出自粛要請が続くなか、レジャーシーンでも個人志向の傾向が目立つようになってきた。昨年あたりから話題になっているのがソロキャンプだ。2020年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた。

山を買ってソロキャンプを始めた芸人・ヒロシがブームの火付け役と言われている。ユーチューブの「ヒロシちゃんねる」は登録者数が107万人(2月19日現在)にも達している。さらには、女子高生が主人公のキャンプマンガ『ゆるキャン△』にもソロキャンプのシーンが登場する。

100均ショップにアウトドアコーナーも

アウトドア市場は1990年代のブーム以来の盛り上がりを見せ、2018年ごろから30~50代男性が牽引役となり、活況を呈しているという。専門店はもちろんのこと、100均ショップにもアウトドアコーナーが設置されているほどだ。

コロナ禍で人気が高まるソロキャンプ(写真:筆者撮影)

ソロでの山歩きが好きな筆者もよくソロキャンプをしてきた。大自然の中で何の束縛も、密もなく、気ままに自分の時間を過ごすことができる。

北八ヶ岳の双子池や白駒池の畔で、ウイスキーのお湯割りをすすりながら、夜空一面に輝く星を眺める。まさに至福のひとときだ。コロナ禍を機に、ソロキャンプに目覚め、その魅力に取りつかれる人たちが増えているのだろう。

もっと身近なシーンでも個人向けの現象が進んでいる。巣ごもり需要でおひとりさま用の小鍋が人気化していることに加え、ペットボトルにもダウンサイジング志向の傾向がみられるという。

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