専門家が検証「クラブハウスの音はなぜ良いか」 「Zoom」や「Teams」より格段に話しやすいワケ
一方でClubhouseの会話が心地よいことは、使ったことがある読者ならば同意するに違いない。オンライン会議の多い昨今、多くの人がZoomやTeams、Webexなどのツールでコミュニケーションを取っている。それらで映像通信をオフにしても、Clubhouseは格段に会話しやすいのだ。
その理由を使い始めて以来、ずっと考えていたが、次の4つに思い至った。
・音声が心地よい音質
・複数の話者が同時に発話できる
・無音時の静寂
遅延に関しては、実は評判ほどに短いわけではなく、おおよそ0.4〜0.5秒の遅延が起きるようだ。もちろん環境によって変化するが、もっと変化が大きいのは参加の手法。またスピーカー(発言が許されてる人)として会話に参加している人は応答性がいい一方で、リスナー(いわゆる「聞き専」)へ届くまでには、さらに多くの時間がかかるようだ。
具体的な音声の経路は不明だが、どうやらスピーカーの間で議論が活発になるよう、細かなチューニングが施されているのだろう。
なお、Clubhouseの会話の技術は中国系テックベンチャーのAgora.ioの技術が使われているという。つまり、要素技術(基本技術)の開発に長けた自社エンジニアで勝負するベンチャーではなく、会話のしやすさにフォーカスを当てたアプリケーション、サービス設計のセンスで勝負する会社と言えるだろう。
本国のアメリカよりも日本での熱気が高まっているのは、日本ユーザーの嗜好性にそうしたサービスの特徴がピタリとハマったからではないか。
声に特化した心地よい音質と「無音時の静寂」
声に特化した心地よい音質や無音時の静寂などは、音声処理を行う際の程よい調整が効いているようだ。
Clubhouseにはある条件下で使える「Music Mode」があり、音楽を流すために適切な音声処理モードへと切り替えることができる。ただしMusic Modeだからといって音楽が楽しく聞けるほどの音質かといえばそのようなことはなく、どうやらダイナミックレンジの圧縮などを控えめにするなどの調整が行われているだけだと感じる。
低音から高音まで幅広い音域で構成される音楽は不得手で、昭和時代のポータブルAMラジオを彷彿とさせるレンジの狭さと分解能。音楽を楽しむには力不足だが、生演奏が流れてきたときの風情はなかなかよいというところだろうか。
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