専門家が検証「クラブハウスの音はなぜ良いか」 「Zoom」や「Teams」より格段に話しやすいワケ

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ところがアップル純正の有線、無線イヤホン、ヘッドフォンを使ってみると、本体内蔵マイクと遜色ない音質になる。例えばソニーWH-1000XM2とアップルAirPods Maxでは明らかに後者のほうが、マイクの拾う音がよいのだが、実は電話やLINEなどトーク用アプリでの音質には大きな差はない。

結論から言うと、周囲が静かで生活音や暗騒音が入り込みにくい環境ならば、iPhone内蔵マイクでスピーカーとして参加するのが最善。iPad系デバイスの場合はアップル純正のイヤホンマイクか、AirPodsシリーズのどれかを使うのがいい。

またこれは前述の音質に関する解説とも関連するが、外出先などで風切り音、電車や道路からの騒音などの中での参加はあまりお勧めしない。そうした取りきれない騒音が耳障りなだけではなく、騒音が情報量を多く使ってしまうため声の質が下がり、また音圧の自動調整もうまくいかず、リスナーにとって好ましくない音質になってしまうからだ。

話を弾ませるうえでも、リスナーに心地よくいてもらうためにも、自分自身の参加環境は友人などにチェックしてもらうなどして確認してもらうといい。

Music Modeを使う際の注意点

さて最後にMusic Modeについても触れておこう。

Music Modeはトーク専用のダイナミックレンジの圧縮処理を行わないモードのようだ。このモードが選択できる条件は、4極ミニプラグ(アナログフォーンジャック)にイヤホンとマイクが正しく接続されること。iPhone 8/X以降のiPhoneには4極ミニプラグがないが、Lightningへの変換プラグを通じての接続でも構わない。

注意が必要なのは「4極ミニプラグにイヤホンとマイクの両方が接続されている必要がある」ということだ。音楽だけを流したいのでマイク部分のみ接続しても、ClubhouseはMusic Modeに切り替えることができない。例えばIK MultimediaのiPhone対応オーディオインターフェイス「iRig2」など4極端子対応機器を用いることでMusic Modeを活用できる。

帯域は狭いため音質はさほど期待できないが、編成が少ない音楽、できればソロ楽器などであれば、つまりあまり情報量が多くない音楽ソースならば、そこそこの音質で流すことができる。ゆったりと弾くギターやピアノを流すなどの目的で使う人も多いので、そうした音楽が流されているトークルームを探してみてはいかがだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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