芸能人の事務所独立が止まらない「納得の事情」 フリーになってさらに試される「真価」
退所騒動は、何も大手芸能事務所に限った話ではない。
中堅事務所のスペースクラフトからも栗山千明、神田うの、有森也実、上坂すみれが退所を表明し、“第2のオスカー”ともいわれた。
「栗山は子役時代から約30年にわたって所属し、有森も37年間所属した事務所の顔的存在です。
しかし、彼女らに代わる新しい顔がなかなか育たず、マネージャー陣は苦労していたようです。
そういった焦りもあって、上層部と現場の人間に距離が生まれ、タレントだけではなく社員も事務所を去っていると聞きます」
公取の牽制に加え、ネットも後押しに
また、こうした退所の背景には、「2019年に、公正取引委員会が芸能人などの活動にも独占禁止法を適用すると見解をまとめたことが大きい」とは前出の石川さんだ。芸能事務所とタレントの専属契約に違法性がある──。つまり移籍や独立をする際に障害があるのではないかと調査に乗り出したことで、所属タレントが独立しやすくなったというわけだ。
2016年、のん(能年玲奈)がレプロエンタテインメントから独立したときは、圧力といった言葉が飛び交い、彼女の進退にも少なからず影響を及ぼしたが、時代は確実に変わっているのだ。
輪をかけて、「インターネットの台頭がある」と先の芸能記者は話す。
「電通の『2019年 日本の広告費』によれば、インターネット広告費が初の2兆円超え、ついにテレビの広告費を逆転しました。それだけ多くのお金がネットの世界に流れている」
昨年末にフリーランスになったオリエンタルラジオ・藤森慎吾が、同じく独立した手越祐也のYouTubeチャンネルに登場した際に、「YouTubeのギャラがテレビ超えてしまった」といった趣旨の発言が大きな話題を呼んだ。