フランス人が憂う日本人女性の置かれた「立場」 日本人女性はもっと発言するべきだ

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学校で適切な性教育を施されないまま、異性との出会いに含まれる重大に危険を何も知らずに大人になり、時に望まない妊娠をすることがある。そして中絶ということになれば、経済的にも、身体的にも、そして倫理的にも(日本では中絶は刑法上犯罪になるので、それを避けるために女性たちは子供を育てる金銭的余裕がないのだと嘘をつくことを迫られる)、不必要な苦悩を味わうことになる。これはもっと日本で話されるべきテーマである。

医療も政治家も頼りにできない

医療についても時代遅れにさいなまされている。日本女性は、避妊薬の認可をフランス女性よりも32年後の1999年まで待たなければならなかった。日本では医師の処方がなければ緊急避妊薬は入手できず(フランスではドラッグストアで、900円程度で手に入れられる)、不必要な妊娠や中絶が発生することになる。

ちなみに、日本では2018年4月から一時期、妊婦が風邪などで病院を訪れる場合、追加の医療費を支払わなければならなかった(この「妊婦加算は少子化に逆行するとして翌年1月に凍結)。妊婦に追加の医療費を払わせる国なんてほかにあるだろうか。

こんな状況なのに、女性たちは女性に頼ることすらできない。自民党が先ごろ、主に女性に便宜を図る改革となる、夫婦別姓を認める検討をしたとき、猛反対する者の中には、自民党女性議員たちがいた。

森氏の発言が、特に海外メディアで報道されて国のイメージに泥を塗ったにもかかわらず、日本の女性政治家は、国の将来を任されているはずでありながら、意外にも沈黙している。自称「女性の擁護者」の小池百合子東京都知事は、不満を口にしただけであった。

49歳のフランス人男性が、日本女性はどう生きるべきであるかを書くのは自然なことではない。しかし、日本女性が自分たちについての議論を始めるのが難しいようであるなら、私が自分の意見を述べてもよいではないかと思った。

森氏は、日本女性に「しゃべり過ぎ」だと苦言を呈した。しかし真実は逆だ。日本女性はあまりにも声を上げなさ過ぎる。しかも、大声で叫ぶべき理由は山ほどあるのに、だ。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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