元製薬会社MRが造る「金賞受賞ワイン」の本質 北海道仁木町ワイナリー「NIKI Hills」の造り手

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毎年、海外研修に出られるのは資本力があるからとうらやむ向きもあるが、その恵まれた環境を生かせるか否かは本人次第。麿さんは研修の成果をワインに出している。

醸造所に隣接する宿泊施設(写真:NIKI Hillsワイナリー提供)

北海道産赤ワイン用ブドウの代表品種「ツヴァイゲルトレーベ」を使った2017年のニキヒルズのワインを飲んだワインジャーナリストから、あるとき麿さんは次のように言われた。「ツヴァイの果実味はどこへいっちゃったの。悪くはないけどつまらない」。次の2018年はどうすべきか、収穫を迎えるまで半年以上考え続けた。

そうして迎えた2018年の醸造。研修先のニュージーランドの醸造家の意見も取り入れ、酵母の添加をやめ野生酵母で発酵させ、発酵途中に果皮は残したまま種だけを取り除き、果皮をワインにつけておく期間をこれまでの2週間から1カ月に伸ばすなど、大幅に手法を変えて造った。

そのワイン、ツヴァイゲルトレーベ「YUHZOME」2018年は、イギリスのワイン専門誌『Decanter(デキャンター)』が主宰する「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード2020」で、日本の赤ワインとして初の金賞を得た。白ワイン用ブドウの品種「ケルナー」を使った「HATSUYUKI」シリーズの「レイトハーベスト」2018年と「アンフィルタード」2018年も同じく銅賞を得た。

実は最近では、海外のコンペで受賞する日本ワインが増え、ワイナリーが受賞のアナウンスをしても日本のワイン雑誌や酒類専門誌では取り上げられなくなっている。だが世界に数あるワインコンペの中でも、特に影響力のある「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード」での受賞となると扱いが違う。専門誌どころか北海道新聞も取り上げ、あっという間にワインは完売となった。

エレガントさを堪能したいワインの1つ

「2017年のツヴァイゲルトレーベがもつ粗っぽい渋みとごつんとした重さは消え、2018年は発酵を終え、搾った段階で2017年よりいいワインになると確信できた」と話す麿さん。

敷地内に広がる自社畑では「シャルドネ」と「ピノ・ノワール」を栽培(写真:NIKI Hillsワイナリー提供)

筆者が味わってみると、フレッシュなベリーの風味が口内に広がり、ほのかにアニスなどを思わせるハーブとスパイスの風味がある。きりっとした酸味としなやかなタンニンを持ち一本芯が通っているが口当たりは滑らか、エレガントと表現したいワインだった。

長いワイン文化を持つイギリスのプロが金賞を与えたのも納得だ。賞を取った2018年ヴィンテージでツヴァイゲルトレーベの醸造手法はほぼ定まり、あとはその年のブドウにあわせて微調整しているという。

2016年に植樹を始めた自社畑は8haで、昨年から本格的に収穫できるようになった。麿さんはこれまで、この自社畑で栽培する「シャルドネ」と「ピノ・ノワール」で造るワインの評価が高いワイナリーを選んで研修してきた。本格的な研修成果がワインにもたらされるのはこれから、ということだ。

ワイナリーを訪ね、ブドウ畑を見渡すレストランで食事をしながら、その成果を確かめる日を今は楽しみにしたい。

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