車載用「強化ガラス」の需要が高まっている訳 電動化や自動運転を見越して各社が開発に注力

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写真はトヨタ「アルファード」のインストルメントパネルまわりだ(写真:トヨタ自動車)

ダイノレックスは、ほかの自動車メーカーでも、例えばトヨタの「アルファード」など、車載ディスプレイに採用する事例が増えているという。では、なぜ強化ガラスなのか? 近年は、樹脂製カバーも強度や耐久性などが向上しているし、ガラスに比べると軽量にできるなどのメリットもあるはずだ。この点について、前出の同社担当者は「樹脂は表面の手触りがざらざらしがちなため、質感が劣るという理由で、ガラスを選ぶ自動車メーカーが多い」のだという。

また、なぜ強化処理が必要なのか。それは「安全性」が大きな理由だという。例えば、衝突事故の際に、もし自動車の乗員がシートベルトを締めていないと、急激に体が前方に傾くことで、頭部などが車載ディスプレイのガラスに当たる可能性もある。その際、ガラスが割れると、乗員に刺さり重傷を負うことも十分考えられる。

JAFの実験でも強化ガラスの必要性が浮き彫りに

特に後席の乗員がシートベルト非着用の場合は、本人はもちろん、前席の乗員にも被害が出やすい。実際にロードサービスを手掛けるJAFは、2017年に後席シートベルト非着用の危険性を調べるテストを行っている。内容は、ミニバンにダミー人形を前席2体、後席(2列目)2体ずつ乗せ、後席運転席側ダミーのみシートベルトを非着用とし、時速55kmで壁に衝突させたというものだ。結果、シートベルトを着用した後席や助手席のダミーは、シートベルトで上体をしっかりと拘束されたが、シートベルト非着用の後席ダミーは前方に投げ出された。しかも、投げ出された後席ダミーは運転席のヘッドレストに頭を打ちつけただけでなく、シートごと運転席ダミーを押しつぶすとともに、頭がヘッドレストを介して運転席ダミーの後頭部に衝突している。

JAFの実験では、シートベルト非着用の後席ダミーは、前方の運転手席へ投げ出された。だが、もしシートベルトを締めていない後席の乗員が、衝突事故の直前に運転席と助手席の間に顔を出していたらどうなるだろう。前方に投げ出され、インパネのセンターモニターなどに顔や頭を打ちつける可能性は十分にある。その際、ディスプレイのガラスが割れると、前述の通り、投げ出された後席乗員はもちろん、運転席や助手席の乗員にケガをさせる危険性は十分あるのだ。

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