車載用「強化ガラス」の需要が高まっている訳 電動化や自動運転を見越して各社が開発に注力
左右奧にそれぞれ配置された2つの6インチモニターは、サイドカメラミラーシステムからの映像を映し出すもの。車体後方の確認を一般的な左右のドアミラーに代わってカメラの映像で行うこのシステムは、昼夜や天候などに左右されず、より確実な視界確保ができる機能を持つ。レクサス「ES」などでもオプション装備はされているが、量産車で標準装備されるのは世界初だ(ホンダ調べ)。
このようにホンダeには、ディスプレイで多くの情報表示を行うが、この傾向は昨今のニューモデルでも同様だ。特にスマートフォンと連携するディスプレイオーディオが搭載されているモデルでは、国産車や輸入車を問わず、ディスプレイの大型化や多機能化が進んでいるといえるだろう。センターコンソールのナビゲーション画面はもちろん、メーターも液晶ディスプレイ化された車種が増えている。
日本電気硝子のダイノレックスが採用される理由は?
ホンダeに採用された日本電気硝子のダイノレックスは、スマートフォンやタブレットなどのカバーガラスとしての採用実績も持ち、ディスプレイ画面を傷や衝撃から保護する目的で開発された。ナトリウムイオン(Na+)を含んだガラスを、カリウムイオン(K+)を含む硝酸カリウム溶液に浸すことで、ガラスの表面に「圧縮応力」という力を発生させるといった化学処理を施す。これにより、ハンマーで叩いても割れないほどの強靱なガラスになるという。
さらにダイノレックスには、映り込みを目立たなくし、映像の視認性を高める「アンチグレア(Anti-Glare)」や、映り込みの反射を低減する「反射防止(Anti-Reflection)」、指紋などの汚れが付きづらく拭き取りやすくする「防汚(Anti-Fingerprint)」といった機能膜を施すことも可能だ。また、これら処理は、実際にホンダeの車載ディスプレイにも採用されているという。
ちなみに同様の化学強化ガラスは、アメリカ・コーニングや日本のAGCでも生産しているが、日本電気硝子の担当者によると「(他社製品より)処理時間を25%短縮できる」ため、生産性の向上や低コスト化が見込めるという。
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