ななつ星のJR九州、「大胆経営」に浮かぶ暗雲 日韓高速船「クイーンビートル」は就航停止に

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JR九州の最新の観光列車「36ぷらす3」(記者撮影)

他社に先駆けて豪華列車「ななつ星in 九州」を導入したり、不動産をはじめとした非鉄道事業を強化するなど、大胆な経営で業績を伸ばしたJR九州。2016年には株式上場にこぎつけたが、同社のその積極姿勢がコロナ禍で裏目に出ている。

2017年に大々的に投入を発表し、2020年に完成した新型高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」は就航できない状態が続いている。

日韓つなぐ高速船を運航

同社傘下のJR九州高速船は、福岡市の博多港と韓国・釜山を結ぶ日韓航路に高速船「BEETLE(ビートル)」を3隻運航している。このうち1隻をクイーンビートルに置き換える計画を2017年に構築。当時、日韓航路は格安航空会社(LCC)の攻勢にさらされていた。

LCCとビートルは値引き合戦を繰り返していたが、JR九州は価格競争からの脱却を目指し、移動時間を優雅に楽しむことを目的としたクイーンビートルの建造に着手した。内装に趣向を凝らした設計で、建造費用は約57億円。ななつ星のおよそ2倍の金額だが、ななつ星の成功体験がこの計画を後押しした。

しかし、タイミングが悪かった。日韓関係の急速な冷え込みから2020年3月期に利用者が急減。そこへ新型コロナウイルスの感染拡大が拍車をかけた。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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