【産業天気図・総合商社】資源の海外権益が稼ぎ終始「晴れ」、大手5社の純益は1兆円台回復も
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
総合商社は2010年4月から1年通じて「晴れ」の活況となりそうだ。資源分野の海外権益が稼ぐほか、景気底打ちで非資源分野も回復基調。大手総合商社5社の最終利益は再び総額1兆円の大台に乗る可能性もある。歴史的な資源高騰局面にあった3年前には及ばないが、業績の伸びが期待できる。
今や総合商社の事業領域は伝統的な各種トレード(仲介)にとどまらず、事業会社への投資など多岐にわたる。利益の大部分を稼ぐのは、金属資源やエネルギー(原油・天然ガス)の開発権益。世界的な資源高騰で総合商社は開発権益の儲けが急増し、2003年度に2500億円に過ぎなかった大手5社の連結最終利益の総額は06年度に1兆円を突破、資源高騰ピークだった07年度には合計で1・5兆円近くにまで膨らんだ。
前09年度はリーマン・ショック後の世界的な景気低迷で業績は厳しいが、それでも5社合計で最終益は8000億円近くに達したもよう。経済環境を考えれば大健闘だ。 厳しい経済環境下でありながら、これだけの利益が出るのは、やはり資源である。
09年度4~12月累計の5社最終益合計は約5500億円。このうち、6割超が資源分野の稼ぎだ。中でも三菱商事<8058>はドル箱の豪州・原料炭事業だけで818億円の最終益を計上し、この豪州原料炭だけで同社連結最終益(4ー12月累計で1856億円)の半分近くを稼いだ計算。三井物産<8031>に至っては、保有する事業会社株式の減損等で非資源が赤字で、同期間の全社最終益・930億円の全額が鉄鉱石等の金属資源、エネルギー分野によるものだ。
リーマン・ショック後に急落した金属資源や原油の市況は昨年途中から再上昇に転じており、総合商社の10年度の業績を考えるうえではプラス材料。特に業界を代表する三菱商事<8058>、三井物産の両雄は保有する権益規模が大きく、資源分野での収益拡大が期待される。また、トレードや保有事業会社の持分損益を中心とする非資源分野も景気底打ちを背景に業績が改善する見込み。
丸紅<8002>は09年度に海外発電事業の売却や開発権益にかかかわる一時的な利益が発生。住友商事<8053>も海外の石油権益売却による臨時益が出たたため、その反動で両社の10年度の増益幅は限られそうだ。
(渡辺 清治)
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