18歳だけを相手にしていては大学は衰退する 「ジョブ型雇用」で企業が大学のライバルになる

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この2種類の大学は、自分たちの信条やパーパス(存在価値・存在意義)の再定義においてターゲットとしている時代やマーケットが大きく異なっている。

もちろん「人材輩出を重視する大学」が先端分野で社会をリードすることもあれば、「研究開発を主体とする大学」も人材育成を大切にするだろう。しかしこの「ターゲットの違い」は今後、各大学の個性や特徴となって顕在化していき、日本の未来はこれら2種類の大学それぞれが発揮するバリューの掛け合わせによって形作られていくのである。

「ラーニング時代」における大学と企業

筆者は、各大学の動向や人材のニーズ等を踏まえた筆者なりの分析で、一定の年月をかけて国内で未来創造型大学を志向する大学がおよそ2割、人材輩出型大学を志向する大学が8割程度になるだろうと予測している。

しかしこれも市場ポートフォリオに基づいて半ば自動的に差配されるのではなく、自学の理念に基づいて、どのように自学の未来を描くのかによって針路が分かれていくと見られる。あくまでも結果として2割と8割に分かれていくのであり、もちろんその過程で、既存の国内大学の一部が閉鎖や他大学への吸収されることなども起こりうる。

二極化時代の到来に備えて、大学はどのような「教育と人材育成」を提供すべきだろうか。端的に言うと、「選択と集中」が求められる。

未来創造型大学の場合、研究活動を重視し、長期的な視点で経済・生活にイノベーションを起こす基礎研究や応用研究をさらに強め、研究そのものを教育の題材にしていくかたちが望ましい。一方、人材輩出型の大学においては出口としての企業のニーズを先読みしつつ「数多い選択肢」や「需要に応じたスキルアップ方法」を提供することであり、投資配分も思い切ったかたちでそこに振り向けるべきだろう。

少子化のみならず、ジョブ型雇用が広がり、学習歴、継続的なスキルアップが求められる背景のなか、18~22歳の学生だけをターゲットに置き続ける大学は、時代の荒波にのみ込まれる可能性が高い。

従来のような学力レベルや学部・学科・コースなどの入り口と出口が固定化された画一的なカリキュラムよりも、受講者の多様性を前提とした柔軟性のあるプログラムのほうが新時代的である。つまり、異なる世代・異なるキャリアを持つ多様な入学者の受け入れこそが、大学が生き残るための1つの方法だといえる。

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