18歳だけを相手にしていては大学は衰退する 「ジョブ型雇用」で企業が大学のライバルになる

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このような人材流動性の高まりは、日本社会における「昇進・出世」のあり方や価値観の転換を伴う。これからの企業は、個々人が持つスキルや経験、パフォーマンスをより重視する「タレントマネジメント」を意識した人材戦略へとシフトしていく。そのため、昇進や昇給はスキルアップと不可分になるが、同時に企業は人材のスキルアップやスキル転換(リスキル)への投資もより積極的になる。

つまり、「ジョブ型雇用への転換によるリスキルの重要性の高まり」は、その人材がどこの大学を卒業したかという「学歴」から、何を学んできたかという「学習歴」という新たな潮流に社会規模でシフトしていくと思われる。

新しいスキルを習得するためにビジネスパーソンは継続的に学び続けることが必須となり、そのニーズに応える「学習(ラーニング)やスキルアップのための市場」が形成・活性化していくと予測される。これが今後、大学と企業が「学び直し(リカレント教育、リスキルトレーニング等)」の市場で競合する理由と仕組みである。

「CLO」設置が増え、企業の人材育成が注目

大学の未来を語るに前に、企業側の変化について掘り下げたい。労働人口が減少する日本において、事業成長を維持するには社員1人当たりの生産性の向上が不可欠であることは明白だ。テクノロジーの活用による効率化は当然必要であるが、「社員の生産性」を高めるには人材育成の強化以外に道はない。

これまで、企業の人材育成はCHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)をトップとする人事部が担うことが多かったが、今後は独立したポジションとして、CLO(Chief Learning Officer:最高人材育成責任者)の設置が当たり前になるだろう。

CLOは、自社の成長のためにどのようなスキルを持つ社員が必要かを他の経営幹部とともに見定め、スキル強化のためにトレーニングプログラムを設計・実行する役割を担う。実務のための「研修」から「ラーニング(学び)」へアップグレードされていくだろう。一社員として1つの担当業務にしがみつくことなく、新スキルの習得によって新たなポジションへと移っていく流動性の高まりが、これからの「キャリアデザイン」の基本形となるのである。

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