オリラジ藤森が今語る「あっちゃん」との出会い 意気投合した「バイト先のスター」と「チャラ男」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

あっちゃんはいつだって、ものごとを俯瞰で見るタイプだ。人前で初めてやってみたのだというこの漫才についても、

「全力でやったんだし、まあいいや。いい思い出になったし」

などと自己満足に浸ることなんてない。

これは漫才としていかほどのものだろう? 目の前のお客さんは笑ってくれたとしても、所詮は学生のお遊びレベルじゃないのか?

と冷静に分析してしまうのだ。

「どんな漫才よりおもしろいよ!」

などというぼくの能天気な感想には取り合ってもくれなかった。でもぼくのほうは、スゴいものを観た!という興奮が冷めやらない。それで畳みかけた。

「またやんないの、こういうの? もっと観てみたいんだけど」

でも、あっちゃんはまったくつれない。

「ああ、もうやんない、そういうのは」

コンビを組んでいた相手とも、このとき以来、一緒に活動はしていないのだという。ぼくは言ってみた。

「えー、じゃあ、オレとやろうよ、漫才。で、お笑いの世界に入る! ってのはどう?」

『PRIDELESS(プライドレス) 受け入れるが正解』(徳間書店)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ぼくの口調はいつものクセでどうしても軽い感じになってしまう。でもぼくとしては、ありったけの熱意を言葉にのせたつもりだった。でも、あっけなく否定の言葉が返ってくる。

「いやだよ。そんなのダメに決まってんだろ」

……。あっちゃんは頑なだった。まったく聞く耳を持ってくれなかった。

まあ、しかたない。漫才のことなんてなにひとつ知らず、お笑いファンですらないぼくに、いくら熱心に誘われたところで、心に響かないのは当然だ。

あっちゃんにしてみれば、思いつきで適当なこと言ってんじゃねえよ。となるのが当たり前。

いやでも、ぼくはこのとき実はかなり本気で、「漫才、やろうぜ!」と言っていた。そりゃ傍からすれば軽いノリに見えたかもしれないけど、ぼくのなかには不思議な確信があった。

あっちゃんとだったら、きっとうまくやれる。

自分のなかがそんな直観で満たされていた。

藤森 慎吾 お笑い芸人

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

1983年、長野県生まれ。2003年、明治大学在学中に中田敦彦とオリエンタルラジオを結成。04年、リズムネタ「武勇伝」でM‐1グランプリ準決勝に進出しブレイク。11年、「チャラ男」キャラで再ブレイクを果たす。決めゼリフ「君かわうぃーね!」は同年の流行語大賞にノミネートされる。 14年、音楽ユニット「RADIO FISH」を結成し、16年には楽曲「PERFECT HUMAN」がヒット、NHK紅白歌合戦にも出場した。 現在、バラエティ番組のほか、テレビドラマ、映画、ミュージカルなど俳優としても活躍。20年、YouTubeチャンネル「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」の配信をスタート。オンラインサロン「FILLLLAGE」も開設するなど、マルチに活動している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事