「いつかは海外に」と考えている日本企業の盲点 ベンチャー企業に足りない視点はどこにあるか

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3つ目の理由もよく議論されている課題である。少子高齢化で内向きの日本で、人材争奪競争がますます激しくなる中、資金力が弱いベンチャーにとっては人材確保はさらに難しい。

これは日本の社会文化と不十分なエコシステム(資金、政策、起業家教育……)から生じた課題である。海外進出できる、支援してくれるグローバル人材が少ないだけでなく、転職組への差別、不十分な若者・女性・外国人活用、安定志向、内向き志向……などで人材が育っていないのだ。国内のみ注力するベンチャーはもちろん、海外市場に詳しい人などを探すベンチャーにはさらにハードルが高い。

以上、日本のベンチャーの海外進出にあたってネガティブな側面を中心に述べてきたが、日本のイノベーションエコシステムは実は確実に良くなってきている。

特に若い世代の起業家は国際意識が高く、今後の発展も期待できる。以前記事で紹介した携帯型排泄予測デバイスを研究開発したTriple W、あるいは次世代電動車椅子で有名なWHILLなど、海外市場に進出している優秀なベンチャーは徐々に増えているのだ。

海外進出に必要な3つの視点

しかし、多くのベンチャーでまだまだ不足している海外進出を促すには、どうすればいいのか。以下、3つの視点を紹介する。

a.起業する分野を分析し、最初に国外進出するかどうかを決める

「ドメスティックすぎる」というのは日本のベンチャーが直面する課題だが、ここで指摘したいのは、すべてのベンチャーが海外を目指すべきだということではない。自分のビジネスをきちんと分析し、最初から海外市場進出の戦略を立てるべきかをはっきりさせることが重要である。

国内市場のみフォーカスする好例を紹介すると、2020年7月に設立した早稲田大学発ベンチャーのELternalは、日本国内の寺院と神社に向けてコンサルティングを提供し、地域創生につながる活動を推進するとともに、お墓をめぐる課題にフォーカスした新たなサービスを企画しているという。

創業メンバーに僧侶が複数参画していることや、今後日本国内市場で成長する「お墓」「地方観光」という領域の社会課題に着目する視点が評価され、早くも早稲田大学専用ファンドから3000万円のシード期の資金調達ができている。

こうした檀家文化といった日本特有の社会特徴にフォーカスし、ニッチ市場で勝負しようとしているベンチャーなら、グローバル戦略を立てる必要はあまりないであろう。

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