「いつかは海外に」と考えている日本企業の盲点 ベンチャー企業に足りない視点はどこにあるか
では、どのような分野が国際市場に進出する価値があるか。CICの例も紹介しよう。
昨年10月、虎ノ門にできた世界最大級のイノベーションコミュニティCICのアジア初のセンターであるCIC Tokyoは、海外で展開可能な業種を中心に特化型コミュニティを形成している。
例えば、ヘルスケア、エネルギー・環境、スマートシティ、スポーツテック・エンターテインメントテックなどである。
官公庁・民間と連携もできるし、海外進出に有望な分野を強化している。ほかにも有望分野はあるが、国際市場に進出する価値のある分野を見いだすには、グローバルでの業界分析も必須である。
「シリコンバレーのユニコーン企業は成功している」と思う日本のベンチャーがまだ多いが、すでに状況は大きく変化し、世界各地でさまざまなイノベーションエコシステムができている。
「The Global Startup Ecosystem Report 2020」では、100カ国の270以上のイノベーションエコシステムを評価している。会社の設置場所と市場の選択肢が増え、会社が成長するプロセスも多様化しているため、ベンチャーは、地元や1カ国にとどまるのではなく、世界中で自分のアイデアに賛同し支援してくれる仲間を見つけ、適切な場所(エコシステム)で成長することが可能となっている。
在日外国人の起業家との交流も大事
前述のCICも同様だ。日米のエコシステムに非常に詳しい同社ディレクターの名倉勝氏に聞くと、「CICの中でベンチャーが必要な資源を集め、エコシステムを作り上げ、CICが持っている海外ナレッジも活用し、ベンチャーを支援したい」というビジョンも描いている。
社員全員がバイリンガルで、トリリンガルのメンバーも多いCICのようなハブをうまく利用すれば、海外への苦手意識の解消にもつながるはずだ。
また、在日外国人の起業家と交流することにより、現地進出、オープンイノベーションにもつながる。
東京都のX-HUBなどが積極的に海外ベンチャーと都内の企業のマッチングなどの活動をしているほか、JETROが日本のベンチャー育成の新施策として官民連携によるベンチャー集中支援プログラム「J-Startup」を提供するなど、日本のベンチャーのグローバル化を促進する動きは近年増加している。
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