手洗いしすぎで「手荒れ」に悩む人への解決法 コロナの予防で手湿疹に悩んでいる人も多い

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手洗いやアルコール消毒が増えれば手荒れを引き起こします。まずは自分の手指衛生が適切なタイミングで行われているか振り返ることが大切でしょう。コロナが心配のあまり手洗いしすぎていませんか?

手洗いは40度までで、保湿剤は選んで使いましょう

次に手荒れを防ぐために自分でできることを紹介したいと思います。まず手洗いをする際は高温の水を避けましょう。油揚げの油抜きをするときにお湯を使うのと同じで、高温の水は手の脂を落としすぎてしまう可能性があります。

大塚篤司(おおつか あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医(写真:AERA dot.)

また、皮膚の末梢神経は43度以上に反応してかゆみや痛みを引き起こすことが知られています。お湯の温度は高くても40度までに抑えるのがいいでしょう。

手が明らかに汚れていない場合は、手洗いよりもアルコール消毒の使用が好ましいと考えられています。なぜなら、アルコールベースの消毒剤は高い抗菌活性を示し、皮膚損傷のリスクが低いと言われているからです。

手指衛生後は保湿剤を使うことをおすすめします。手湿疹患者53人を対象とした試験では、5%尿素入り保湿剤を使った人のほうが無治療の人に比べて、症状がよくなった後のいい状態が10倍長くなったと報告されています(文献1)。また、エビデンスレベルは低いものの合成セラミドを5%含む保湿クリームを使った手湿疹の患者さんは、合成セラミドを含まない保湿クリームを使った手湿疹の患者さんに比べて有効であったとする報告もあります(文献2)。

病院で処方されるヒルドイドは保湿剤として有名です。この成分であるヘパリン類似物質が配合された保湿剤を薬局で買うことができます。商品名を出して恐縮ですが、市販で買えるヒルマイルドはヘパリン類似物質配合ですので手洗い後の保湿に使ってみるのも1つです。

また、セタフィルという保湿剤は、皮膚バリアで重要なタンパク質であるフィラグリン分解産物を含有している保湿剤です。フィラグリンはアトピー患者さんの皮膚で減少しており、ドライスキンの原因とも考えられていますので、フィラグリン分解産物を配合した保湿剤は有効かもしれません。

その他、保湿剤を選ぶポイントとしては無香料であること、アロエ成分配合は選ばないことです。香料やアロエ成分はかぶれを引き起こし手荒れを悪化させます。

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