尾崎元規・花王社長--機能性食品からの撤退はない、できれば食用油で再出発
--それでも販売停止に。
販売停止をした当時は、何を言っても疑われている立場ですから、なかなか耳を貸していただけなかった。そのようなことが起こらないように、認識や対処方法について議論しておくべきだったと思います。
食料自給率が4割と低い日本では、外国産の機能性食品が入りやすい。このためエコナ同様の後発事象の問題は必ず起こるでしょう。だからこそ、食の安全や安心の議論は重要になる。花王も議論に入りつつ、社会に対して企業としての責任を果たしていかなくてはいけません。
--発がん性については実害のないレベルということですが、それでも対応が必要となります。商品に対するメーカー側のコストは今後も増えていくことになりますね。
コストを負担してでも対応を進めていくべきです。機能性食品の目的は生活習慣病など病気を予防すること。高齢化社会を迎え、健康への関心が高まる一方、健康保険の破綻など行政の問題が危惧され、ますます機能性食品の社会的意義は高まってくるでしょう。しかし、採算は大事。一企業だけの問題ではなく、社会全体が認識すべきだと思います。
--機能性食品事業については今後どのように考えていますか。
エコナ問題があったからといって撤退する考えはありません。できれば食用油で再出発を期したい。GEの含有率を一般の油程度まで下げる技術はすでに確立しました。しかし、世の中にはいろいろな意見の方がいらっしゃいます。その方たちと、落としどころを探った後になります。
健康保険組合とタイアップして健康診断結果にどう対応すべきか、といったソリューションビジネスも計画中です。エコナを教訓にさらに高いレベルに挑戦していきたい。
--再出発する場合は、トクホでということになりますか。
トクホ制度も行政で議論が進んでいる。その経過を踏まえて判断する。