「時短拒否で過料は効果なし」と言える苦い前例 裁判員制度では無断欠席が多いのに適用されず

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裁判員になれば、1日1万円以内の日当と交通費が支給される。場合によっては宿泊費も出る。ならなかったとしても選任手続きに出席すれば、最高で8000円が支払われる。だが、それよりは仕事をしていたほうが、はるかに儲かる職種だってある。むしろ、10万円を払って済むのなら、誰か他に代わってほしいという心づもりの事業主だっているはずだ。

同じように、休業や時短営業の要請が出たとしても、これに応じずに営業を続けたほうが、補償を受け取るよりもはるかに儲かるという事業主だっていておかしくない。それこそ“赤信号、みんなで……”となれば、過料の制度こそ崩壊する可能性が高い。

改正案では、緊急事態宣言を発出する前に、「まん延防止等重点措置」を新たに設け、首相がその都道府県や期間を指定すると、知事は休業や時短営業の「要請」を出し、正当な理由がなく従わなければ「命令」に切り替えられる。違反した店舗には過料を科す。重点措置の段階では30万円以下、緊急事態宣言後には50万円以下に引き上げる。店舗への立ち入り検査もできるようになり、拒否した場合も20万円以下の過料となる。

「勝負の3週間」に負けた政府

そもそも、昨年11月に1日の新規感染者数が増えはじめてきたことから、政府は同月の終わりから3週間を「勝負の3週間」と位置づけて、感染防止を強化したはずだった。ところが、感染者は減るどころか、むしろ歯止めがかからなくなった。つまり、勝負に負けたことになる。

その状況に慌てたように、菅義偉首相がGo To トラベルを全国一律で停止することを表明したのが12月14日になってからのことだった。菅首相が前政権の官房長官時代から肝いりで進めてきたはずのものだ。

専門家の間でも今冬の「第3波」の襲来は予測されていたところで、結果からすれば、Go To トラベルで日本国内の人の流れをかき回したことで、感染が拡大したともいえる。

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