エア・ドゥ初号機、「地球を1079周した」その生涯 22年間の就航、「ラストフライト」に惜しむ声

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エア・ドゥは、小型のボーイング737型機(144席)を8機、中型のボーイング767型機(286~288席)を6機保有するが、今回の98ADを含め、2021年3月期にこのうち2機が退役し、767は4機体制となる。

ラストフライトを終え、駐機場に向うJA98AD(記者撮影)

ただ、そのうち2機は98ADと同様、製造から22年を超える機齢で、比較的新しい737への集約を含め、後継機を今度どうしていくかは喫緊の課題となる。

「737と767の2機種体制は堅持する方針だが、コロナ後の需要をどうみるかで、後継機の選定は難しい判断になる」(エア・ドゥCSR企画推進室の工藤智章副室長)という。

航空機史上、画期的だった767

1979年に製造が始まった767は、日本が初めて共同開発に参加した航空機だ。767はそれ以前の双発機よりも航続距離を飛躍的に延ばし、アナログの計器類が画面表示のグラスコクピットに置き換えられた。さらに、3人必要だった乗務員が2人で可能になるなど、航空機史上、画期的な機材だった。

だが、ボーイング社は圧倒的な軽量化と低燃費を実現したほぼ同サイズの787を事実上767の後継機とし、旅客用の767の生産は2014年で終了してしまった。

桜美林大学の戸崎肇教授(航空政策)は、「767はたしかに画期的な機材だったが、ボーイング社の787やエアバス社のA330が開発され、いまでは経営上、中途半端な機材になっている。ただ、国内には767を運航するパイロットが多数いることもあり、一気に退役させることもできない。コロナの様子をみながら国内線で活用していくか、貨物機として今後も使っていく必要がある」と話す。

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