欧州は主要国の政権が弱体化、政策停滞の懸念

ポスト・メルケルは弱く、マクロンも支持率低下

メルケル首相の退陣後は誰がリーダーシップを取るのか(写真:ロイター/MICHEL KAPPELER)

2020年の欧州は新型コロナウイルスの猛威に襲われ、厳しい経済調整を迫られた。EU(欧州連合)の加盟国間では不協和音が高まった1年だった。各国は前例のない規模の大幅なマイナス成長に見舞われ、巨額の財政出動や大規模な金融緩和にもかかわらず、経営難にあえぐ企業や生活苦に苦しむ家計が増加した。

EUはギリギリのところで危機を回避

春の第1波ではEUとして一体的なコロナ危機対応に取り組むことができず、欧州復興基金の創設をめぐって、債務共有化を求める南欧諸国と厳格な規律を求める北欧諸国との間の対立も表面化した。厳しい行動制限と都市封鎖で感染封じ込めに成功したかにみえたが、秋に入ると感染第2波が欧州を襲い、各国は都市封鎖の再開を余儀なくされた。EUの基本価値に対する違反を繰り返すハンガリーやポーランドの反対で、EU予算の成立や復興基金の稼働が危ぶまれた。

年末が近づくと、英国・EU間の通商協議が難航し、合意なき移行期間終了の不安も広がった。このように昨年はEUの結束が危ぶまれるリスクイベントも多かったが、今回も危機バネが働き、ギリギリのところで難局を回避することに成功した。

欧州各国では年明け以降も感染拡大が続き、行動制限の強化や延長を余儀なくされている。とりわけ英国では変異ウイルスが猛威を奮っており、感染者や死者が急増している。

ただ、今のところ第1波に比べて欧州各国の景気の落ち込みは軽微で、世界景気の底入れ期待にも支えられ、企業の業況判断は意外に底堅い。昨年末には英国やEUで集団免疫の獲得に向けたワクチン接種が開始された。危機からの復興に充てる財政資金を提供する欧州復興基金も近く正式に稼働する。2021年の欧州はコロナ危機からの克服を目指す1年と位置づけられよう。

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