マハティールがフランスを猛烈に批判した意図 世界で高まる「イスラム恐怖症」への牽制か
アメリカ大統領選をめぐる報道が目立つ中、扱いが極めて小さくなっているが、欧州でイスラム過激派分子によるテロ行為がにわかに相次いでいる。
そして、その影響が欧州のみならず、日本にも近い東南アジアでもかすかな震動を起こしていることは無視できない現実だ。
発端は、9月初めまで遡る。
フランス週刊紙の風刺画が呼んだ波紋
フランスの週刊紙『シャルリ・エブド』が、死者12人を出した2015年の同紙本社襲撃テロ事件の公判に合わせて、イスラム教預言者ムハンマドのターバンの代わりに爆弾が描かれた風刺画などを再掲載。シャルリ・エブドは社説で「テロ襲撃の裁判が始まるに当たって、これらの風刺画を再掲載することは、私たちにとって不可欠だった」として、編集長自ら「私たちは(風刺を)放棄しない」と訴えた。
これを受けて、エマニュエル・マクロン仏大統領も、「報道の自由があり、編集の決定に口を出す立場にない」としたうえで、「フランスには冒涜する自由がある。風刺は憎悪ではない」と擁護する姿勢を取っていた。
その後、この風刺画の掲載にイスラム教徒が早速反応した。
9月25日にシャルリ・エブド旧本社前の路上でパキスタン出身の男が通行人を刃物で襲い、2人に重傷を負わせた事件が派生。地元メディアによると、男は「預言者ムハンマドの風刺画が再掲載されたことが耐えがたかった」との趣旨の供述をしたとされている。
さらに、10月16日にはパリ郊外で、表現の自由を議論するためシャルリ・エブドのムハンマド風刺画を授業の題材としたサミュエル・パティさん(47)が首を切られて殺害され、ロシア出身のチェチェン系イスラム教徒の男(18)が駆けつけた警察官に射殺された。
同29日にはフランス南部ニースのノートルダム教会でも男女3人が刃物で殺害される事件が発生。さらに、今月2日夜にはオーストリアの首都ウィーン中心部の繁華街など6カ所で銃撃が起き、4人が殺害され、20人以上が重軽傷を負った。いずれもイスラム過激派によるテロとみられており、連鎖に歯止めがかからない事態となっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら