欧州は主要国の政権が弱体化、政策停滞の懸念 ポスト・メルケルは弱く、マクロンも支持率低下

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重要な政治日程としては、5月の英国スコットランドの議会選挙と秋のドイツ連邦議会選挙があげられる。前者はスコットランドの民族主義政党が圧勝する見通しで、選挙結果を受けて、英国からの独立の動きがどのように展開されるかに注目が集まる。後者は政界引退を示唆するメルケル首相の後継者と連立の行方が焦点だ。ポスト・メルケルは今年の欧州の最大のテーマとなろう。

年明け早々、エストニアで与党の汚職疑惑で首相が引責辞任したほか、3月に総選挙を控えるオランダで育児給付の不当返還問題で連立政権が崩壊した。イタリアでも連立政権内の主導権争いから小政党が連立を離脱するなど、各国で政治リスクがくすぶっている。だが、ポピュリストによる政権奪取が不安視される選挙や英国のEU離脱問題のような大型のリスクイベントは見当たらない。

2010~15年の欧州債務危機、2015~16年の難民危機、2016~2020年の英国のEU離脱危機、そして昨年のコロナ危機といった具合に、過去10年余り、欧州にはさまざまな危機が切れ目なく襲い、EUの結束を揺さぶってきた。現時点で判明している経済・政治日程をみる限り、今年は久しぶりに一息つけそうな気配だ。

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