「変異種これから席巻」米国が発した緊急警告 感染さらに広がり医療は一段と逼迫する可能性
コロナの被害は有色人種の間で一段とひどいものとなっているが、人種による健康格差は新たな変異ウイルスによって悪化に拍車がかかる恐れがある、と警告する専門家もいる。
「新しい変異ウイルスで脅威は何倍にもなった。コロナについて私たちが知っている全リスクが一気に何倍にも膨れあがったと考えてもらいたい」。こう話すのは、ブラウン大学公衆衛生大学院のアシシュ・ジャー学部長だ。ジャー氏は、ワクチンが弱者に届いていない状況に懸念を示している。
Xデーは3月より早まる可能性
イギリスで初めて検出された問題の変異ウイルスは「B.1.1.7」と呼ばれ、イギリス国内で瞬く間に広がった。ロンドンの新規感染者の80%以上がすでにこの変異ウイルスによるものとなっており、それ以外の地域でも同変異ウイルスによる感染が25%を超えるようになっている。
世界保健機関(WHO)によれば、この変異ウイルスはアメリカやカナダを含む50カ国以上で確認されている。アメリカでは変異ウイルスによる感染は全体の0.5%に満たないとのデータが出ているが、これは限られた検体を解析した結果にすぎない。
CDCの今回の報告は、この変異ウイルスがアメリカでどれくらい急速に広まるかを科学的に予測したものだ。人口の10〜30%がすでにコロナの免疫を獲得し、さらに1月から1日当たり100万人のペースでワクチン接種が進むとの前提で数理モデルを組み立てている。
イギリスのデータが示唆するように、この変異ウイルスの感染力が従来のウイルスに対し50%ほど高まったと仮定した場合、3月には変異ウイルスによる感染が支配的なものになる、との予測結果が示された。ワクチンの接種ペースが前提を下回れば、そのタイミングはさらに早まるという。
しかし、現在のワクチン接種は前提を下回る状態が続いている。
(執筆:Apoorva Mandavilli記者、Roni Caryn Rabin記者)
(C)2021 The New York Times News Services
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