「変異種これから席巻」米国が発した緊急警告 感染さらに広がり医療は一段と逼迫する可能性

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すでに限界に達している病院や介護施設にとっても、CDCの予測は極めて暗い影を落としている。医療機関や介護施設では職員の感染率が高まり、人手不足が深刻化。そうした中で患者数が増加しているため、職員の対応が追いつかず、診療に支障が出る場面も出てきている。

「この変異ウイルスは一段と感染力が高く、今後何週間かでアメリカの感染を急激に増加させる可能性がある。このことに私たちが深い懸念を抱いていることを強調しておきたい」と、CDCのジェイ・バトラー感染症部門副部長は語った。

「私たちは警告している。パンデミックはまだ終わっておらず、闘いを諦める段階に来ているわけでも断じてない。皆さんには、そのことをしっかりと理解していただきたい」

CDCの予測で待ったなしとなっているのが、バイデン新大統領のコロナ対策案だ。同氏はワクチン配布の加速など直接的なコロナ対策に4000億ドル(約41兆円)超を支出する方針を打ち出している。これは州・地方自治体や個人、企業に対する資金援助を含む1.9兆ドル(約200兆円)のコロナ救済案の一環を成すものだ。

報告書から感じる「強い危機意識」

あるCDC職員は、新たな変異ウイルスの感染力には個人的に「ぞっとした」と漏らす。これは緊急事態であり、直ちに感染予防措置を徹底しなければならないと話す。

CDCが公表した報告書からも、強い危機意識が感じられる。ある報告書には、高速道路の緊急標識のイメージが用いられた。新規感染の増加、医療の逼迫、感染力を強めた変異ウイルスについて警告を発するためだ。「もっと(ウイルスが)拡散し、もっと感染者が増え、もっと死者が増える」と、同報告書は警鐘を鳴らす。

アメリカのコロナ感染者数と死者数は連日、過去最高を塗りかえており、1日当たりの死者数は12日に4400人を突破した。累計死者数も、まもなく40万人台に突入する。

CDCが新たに公表したデータによれば、アメリカでは昨年、860人に1人がコロナで死亡した。とはいえ、死亡率は人種、民族、地域によって偏りがあり、被害が深刻な地域にワクチンが届かないのではないか、といった懸念も出ている。こうした地域では医療へのアクセスが限られ、ワクチンに対する不信感も強い。

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