「国内ラリー」がいまいち盛り上がらない理由 地域に密着するラリー競技の難しさと課題

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コースレイアウトや舗装路の様子が日本の峠道に似ていることから、最近ではモータースポーツの会場として使われることも多く、峠アタックイベントや自動車メーカーの試乗会に使われることもある。

今回のイベントは、雪の峠道という一般的にも走るのが難しい道路状況を走ることで、運転技術を身につけてほしいという趣旨で行われたものだ。

日向では雪が溶けてシャーベット状になっていたり日陰では凍結していたりと、目まぐるしく路面コンディションが変化していく路面を感じながら、「少しでも運転技術を学び、運転が楽しいと思ってほしい。ここで走れる技術がつけば、一般道は楽に運転ができると思う」と、講師を務めた新井大輝選手は言う。

今回の参加は15人程度で、初めて雪道を走る人も多く、雪道経験者でも「雪の群サイは初めて」という人ばかりだった。そのため、最初はコースを覚えるのはもちろん、雪道に慣れていくことから始める。

「2021群サイ走り初め」の参加者とスタッフの集合写真(筆者撮影)

慣れていくに従って速度を上げていく人も多いが、少しでも油断をすると雪壁に突入してしまう。スタックしたり車両に損傷を負ってしまったりした参加者もいたが、それもわかったうえで参加するイベントだ。修理は自己責任。これはあらゆるモータースポーツでの決まりごとだ。

新井大輝選手は、「危険を伴うので最大限の注意を払う必要はあるが、少し上のドライビングを知ることで、『その先を知りたい』『見たい』と思ってくれることが大事。ラリーの見学も若い人が増えている。いきなりラリーに参加するのは大変だが、少しでも興味を持ってもらえたら」と話してくれた。また、新井敏弘選手は、「競技者として、少しでも競技人口が増えてほしいと思う」と語る。

このイベントの前日、アライモータースポーツでは、ラリーチームとしての合宿をこの群サイで行っていた。例年、合宿は北海道で行うが、コロナの影響を考慮して群馬を行ったそうだ。この合宿では、今シーズンのラリーに向けての練習だけでなく、競技を目指す若者の育成も行っている。

国内ラリーが抱える大きな課題

このように、ラリーチームがファンや将来のドライバーを育てる活動をする背景には、国内ラリーならではの事情がある。新井敏弘選手は、今の国内ラリーが抱える課題を次のように話してくれた。

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