コロナ禍に新たな脅威「新型インフル」に要警戒 起源となる鳥インフル拡散、殺処分が過去最多

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そこで怖いのが、千葉県で鳥インフルエンザが確認されたことだ。千葉県というのは、全国でも豚肉生産が盛んな場所で、生産量は毎年、全国3位から5位の間で推移している。それだけ飼育頭数も多い。加えて、千葉県の採卵鶏の飼養羽数は全国2位(2019年2月1日時点)を占める。

それにもまして採卵鶏の数が全国で最も多く、鶏卵の生産数も全国トップなのが、隣の茨城県だ。首都圏の食卓を支えているばかりでなく、国内で鳥インフルエンザが確認されると、感染症の専門家の視線は茨城県に向く。ここで鳥インフルエンザが発生すると、人口の多い首都圏にも近く、新型感染症の感染爆発の可能性が一気に高まるからだ。

その感染拡大の規模は、新型コロナウイルスで実証されている。それだけ、もう1つの脅威が、ひたひたと近づいてきていることを意味している。

ヒトへの感染リスクは低いとされているが…

いま日本に蔓延している鳥インフルエンザは「H5N8亜型」で、欧州でも広まっているものがシベリアから持ち込まれたとされる。ヒトへの感染は報告されておらず、WHOも感染リスクは低いとしている。

いまのところ、国内の鳥インフルエンザは適切に処置されている。だからといって、甘く見ることはできない。それは現在の世界と日本を見ればわかる。こんな新型コロナウイルスの発生と蔓延を誰が予測できただろうか。鳥インフルエンザは1〜2月が本格シーズンだ。

もはや、なにが起きてもおかしくはない。そこに新型コロナウイルスに新型インフルエンザが重なるようなことになれば、それは医療崩壊どころか、大混乱に陥ることは必至だ。

青沼 陽一郎 作家・ジャーナリスト

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あおぬま よういちろう / Yoichiro Aonuma

1968年長野県生まれ。早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち、独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。著書に、『オウム裁判傍笑記』『池袋通り魔との往復書簡』『中国食品工場の秘密』『帰還せず――残留日本兵六〇年目の証言』(いずれも小学館文庫)、『食料植民地ニッポン』(小学館)、『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋)などがある。

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