コロナ禍に新たな脅威「新型インフル」に要警戒 起源となる鳥インフル拡散、殺処分が過去最多

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鳥インフルエンザウイルスは鳥から鳥に感染する。本来は人間に感染しないはずだが、このウイルスが変異してヒトからヒトへと感染するようになったものが「新型インフルエンザ」だ。

毎年流行する季節性のインフルエンザと違って、新しい未知のウイルスにヒトは免疫を持っていないから、新型インフルエンザにはほとんどのヒトが感染してパンデミックを引き起こす。それは昨年来の「新型コロナ」の例を見れば明らかだ。

これまでに発生した新型インフルエンザとして知られるのは、1918年の「スペインかぜ」(H1N1型)と呼ばれるもので、世界の人口の25~30%が感染し、約4000万人が死亡したとされる。

それから40年後の1957年には通称「アジアかぜ」(H2N2型)によって、200万人が死亡、さらに10年後の1968年には、いわゆる「香港かぜ」(H3N2型)で100万人が死亡したと推計されている。

新型は10年ごとに発生している?

記憶に新しいところでは、2009年にも新型インフルエンザ(H1N1亜型)が発生している。このときは、WHO(世界保健機関)はいち早く「パンデミック」を宣言した。ところが、新型インフルエンザは弱毒性で、季節性のインフルエンザと大差ないことがわかり、事態は"空振り"に終わった。

これは、WHOが大手製薬会社と結託した「自作自演」ではないか、と疑われるまでになり、欧州を中心に世界中から猛烈な批判を受けた。このことが、今回の新型コロナウイルスのパンデミック宣言が遅れた事情ともささやかれる。

いずれにせよ、ここで重要なのは新型インフルエンザの発生するスパンだ。「スペインかぜ」以来、10~40年の周期で新型の発生と大流行が訪れるとするのが世界の潮流だ。

私が2003年に蔓延したSARS(重症急性呼吸器症候群)の現地取材をきっかけに、新型感染症について取材していた当時、新型インフルエンザの発生周期は10年ごとではないか、とされていた。10年ごとに新型は発生しているが、毒性のない良性に変異していて人体に害がなく、気が付かないだけとの説だ。

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