三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ

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安永氏は「マルチグレインからの撤退などを進めた結果として、次の躍進につながる種まきはできてきている」と振り返る。その中でとくに成長が期待できるのがヘルスケア事業だ。今後は「環境と健康というキーワードに結び付いたビジネス以外は残れない」と強調する安永氏にとって肝煎りの事業だとも言える。

2019年3月には約2300億円を投じ、インドやマレーシアなどで80病院を経営するアジア最大級の民間病院グループ・IHHグループの筆頭株主となった。同グループの総病床数は1万5000床を誇り、病院運営だけでなく、医療データを使った健康維持など「未病領域」でのビジネス拡大も狙っている。

次期中計の利益目標は4000億円

その矢先に直面したのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ影響による資源市況の低迷などで、三井物産の2021年3月期の純利益は前期比54%減の1800億円に沈む見通しだ。

2020年5月に発表した2021年~2023年3月期までの中期経営計画では、最終年度の純利益目標として4000億円を掲げた。この半分以上をヘルスケアや機械などといった非資源事業で稼ぐ算段だ。

中でも低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG(温室効果ガス)排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる。2020年4月にはエネルギーソリューション本部を新設し、再生可能エネルギーや水素、EV(電気自動車)関連のインフラまで、既存の本部を横断するような形で取り組む。2030年に純利益200億円に成長させる方針だ。

商社3位からの脱却に向け、非資源事業の花をどのように咲かせるのか。堀新社長の手腕が問われる。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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