三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ

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三井物産は資源事業で強固な収益基盤を持ち、鉄鉱石や銅などの金属資源、LNG(液化天然ガス)など資源事業から上がる利益の割合が大きい。同社が「資源商社」と称される所以で、過去最高益を記録した2012年3月期の当期純利益4344億円のうち、約9割は高市況に沸いた資源事業が稼いだ。資源事業の割合は2020年3月期時点でも約6割を占める。

資源事業は、市況によって業績が大きく乱高下しがちだ。安定した収益構造への変革が安永氏の課題でもあった。

非資源分野の育成目標は未達に

実際、安永氏は社長就任直後、資源バブルの崩壊に直面した。資源事業で約2500億円もの大型減損を計上したことなどから2016年3月期の業績は初めて最終赤字に転落した。社長就任早々に辛酸をなめた安永氏が取り組んだのが資源事業の収益改善だ。鉱山の操業コストを低減し、市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換を図った。

安永氏が取り組んだもう1つの収益改善策が非資源事業の育成だ。2018年~2020年3月期を計画期間とする前の中期経営計画では、機械・インフラや化学品などの非資源分野を伸ばす計画を策定した。計画期間中に非資源事業の純利益を2017年3月期比の4割増、2000億円にする計画だったが、2020年3月期の実績は1611億円にとどまっている。

ブラジルの農業事業や鉄道事業が不調に終わったことが原因だが、赤字続きの案件を処理するなど、みるべき成果もある。三井物産は飯島彰己・現会長の社長在任時の2011年、世界の穀物需要拡大を見込んで、累計470億円を投じてブラジルの農業生産・穀物物流事業を手掛けるマルチグレイン社を完全子会社化した。だが、競合激化で赤字決算が常態化していた。

安永氏はそのマルチグレイン社からの撤退を決め、2018年5月に公表した。現在は清算に向けて事業の整理を行っている。撤退を決めた結果、マルチグレイン社に割いていた人員などの経営資源を他の事業に振り向けられるようになった。

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