テレ朝は「相棒」病?犯罪ドラマ乱立の真相 米国テレビドラマが証明する、知られざる”大金脈”

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「BORDER」は、毎週木曜日9時から放送されましたが、同時間帯には「MOZU Season 1~百舌の叫ぶ夜」(TBS系)が放送されていました。

「MOZU」は、逢坂剛さんの小説を原作にしたドラマで、西島秀俊さん、香川照之さん他、オールスターキャストで制作されました。同じ刑事ドラマ、しかも、サスペンス調ということで、ドラマファンの間では「どっちを生で見るか」というのが話題となっていました。結果的に1話完結で分かりやすい設定の「BORDER」が視聴率をのばし、連続ドラマで複雑な設定の「MOZU」を途中で逆転するということになりましたが、そもそも、この2つのドラマは、制作の目的が違っていたので、当然の結果ではないかと思います。

「MOZU」をTBSで放送した目的は、テレビドラマを有料でも見たいと思うようなドラマ通の視聴者をWOWOWヘと取り込むこと。何となく刑事ものを見てしまうような視聴者は狙っていません。

一方、「BORDER」は、金城氏がテレビ朝日で放送するドラマのためにわざわざ書き下ろしたドラマです。主人公は小栗旬さんと決まっており、若い視聴者層を狙ったのは明らかです。中高年の主人公が圧倒的に多いテレ朝の犯罪ドラマの中で、新機軸を打ち出そうとしたことが見受けられます。

「BORDER」の最終回の視聴率は14.4%(6月5日、関東地区、ビデオリサーチ調べ)。1週遅れで最終回を迎えた「MOZU」の視聴率は13.8%(6月12日)。この数字を見る限り、両者ともそれぞれの目的を果たしたのではないでしょうか。

7月クールドラマでは、犯罪ドラマが少し減っているようですが、相棒病などと言わずに、どんどんヒットドラマを開発してほしいものです。視聴率、経済性の両方に優れた「相棒」や「NCIS」のようなドラマが、いつ、どの局から生まれるのか、と期待しながら、来月からまた、楽しみに視聴していくことにします。

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