京王百貨店「駅弁大会」開催を決断した舞台裏 例年とは異なり、鉄道業界を盛り上げる企画へ
まず何をすべきか。マスク着用、手の消毒、検温……それだけではダメだ。百貨店催事の中で最も集客数が多いイベントのひとつと言われている駅弁大会。普段だったら、会場となる7階から1階まで行列ができ、その風景もまた冬の風物詩と言われていた。
しかし、密を避けるため、その行列をなくすことにした。最初は会場を新宿店の外に移すことも考えたが、計画はただでさえ遅れており、普段と違うことをするのはリスクが高いうえに、金銭面での負担も大きい。
そこで中地階食品売り場、5階、7階に売り場を分散し、インターネットであらかじめ注文しておいた駅弁を現場で受けることもできるようにした。人数制限をするときは整理券を配り、デパート内の各所で現在どの番号の順番がきているか電光掲示板やLINEでわかるようにした。今年は全館あげて、駅弁大会を援護するのだ。
時期が迫ってくると同時に問い合わせの電話がかかり始めた。その内容は開催されるか、されないか、の確認ではなかった。「あの駅弁はインターネットで買っても、同じパッケージのものが受け取れますか?」「いつもの7階はわかるけど、5階はどこに並べばいいの?」。
堀江氏は「開催されるのは当然のこと」というお客様の反応がうれしかった。第1回から毎年やってくるお客様もいる。そして故郷の実演販売のブースに来て、「自分の出身地だ」と突然、地元の言葉になって話を始めるお客様もいる。駅弁大会は、駅弁を通じて故郷や思い出を共有するコミュニケーションの場にもなっているのだ。
オススメの回り方は
堀江氏にオススメの駅弁大会の回り方を聞いてみた。
「リストを片手に朝昼晩の駅弁を毎日買いに来ていただいているお客様も、たくさんの駅弁を一度に買ってくださるお客様もいらっしゃいます。そのようなお客様は一部の駅弁をインターネットで注文し、残りを実際に会場で買っていただくのがオススメ。またエレベーターは数に限りがあり、3密対策のために止まらないフロアもあるので、エスカレーターをご利用いただけるとうれしい」とのことだった。
もともと駅弁は、食品衛生管理がとても厳しい食品なのだそうだ。なぜなら旧国鉄やJRとの関係で営業している会社なので、昔からたいへん厳しく指導されているからだ。
堀江氏は駅弁のチラシを手にしながら言う。「今は旅行に行くのが難しい時だが、いつかまた電車で旅ができる日が来る。だから、どうかそのときまで自宅で安全に駅弁を楽しみながら、故郷や旅の思い出をいっしょに味わってほしい。そして駅弁に詰められている、全国各地の鉄道のこと、街のことを忘れないでいてほしい」。
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