京王百貨店「駅弁大会」開催を決断した舞台裏

例年とは異なり、鉄道業界を盛り上げる企画へ

今年も京王百貨店の駅弁大会が開催。その舞台裏に迫る(写真:京王百貨店)

駅弁ファンなら誰もが知るイベントがある。

京王百貨店新宿店が毎年1月に開催する「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」(以下駅弁大会)だ。1966年以来これまで55回開催されてきた「駅弁大会」だが、新型コロナウイルスが再び猛威をふるい始めている中、現在も第56回が20日まで開催中だ。

「駅弁」という言葉を聞いて思い浮かべるのは、電車の旅のお楽しみだろうか。遠く離れてしまった地元への郷愁だろうか。はたまた家族に買って帰ったら大喜びされるお土産のひとつだろうか。首都圏では緊急事態宣言も出され、列車の中で駅弁を食べるという行為もままならないご時世になってきたが、「駅弁大会」を開催することで、GO TOの代わりに駅弁が東京にCOME TO してくれた、というわけである。

この「駅弁大会」は売り上げ約6億円を誇る、規模ともにデパート催事の最大級に君臨するイベントである。

「密」を避けるべき時期に、超大型イベントの開催を安全安心なかたちで遂行する。決定までのあいだに京王百貨店の中でも相当な逡巡があったのではないだろうか。

疑問をぶつけるべく京王百貨店 食品・レストラン部 酒・進物・催事担当 統括マネージャー堀江英喜氏に話を聞いてきた。

開催の可否がなかなか決まらず

「一番つらかったのは、いつまでも開催するかしないかがまったく決まらないことだった」と、堀江氏は話す。毎年、駅弁大会の企画を立ち上げる時期は前年の4月だ。昨年2020年4月のことを思い出してほしい。百貨店は全館閉館となり、のちに政府の要請で食品フロアのみが再開していた。密を避け、担当者が一堂に会することもできないまま、状況が二転三転する中での進展はなかなか難しかった。

そして迎えた8月。例年だったら、すべての企画が決まっていて駅弁製造会社(以下調製元)にも出品商品の最終確認が済んでいるタイミングである。にもかかわらず、昨年は8月になっても開催の可否すら決まっていなかった。開催すべきなのか、今年は中止すべきなのか。誰しもが経験したことのない事態だけに、どちらの意見にも言い分があり、なかなか結論まで達することができない。

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