ガテン系企業が「野球選手」を好待遇で迎える訳 社会人野球「冬の時代」にあえて参入を目指す

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同社の築山俊和社長は語る。

「私は高校、大学と硬式野球をしていました。でも大学2年のときに野球をあきらめました。私だけでなく、けがや故障、経済的理由などいろんな事情で野球を断念する人をたくさん見てきました。

私自身は大学生のときに父親の建築現場仕事にアルバイトで行き、そこで建築業界に可能性を感じましたが、一旦はビジネスを学ぶために信用金庫に入庫しました。その後、2008年に日本晴れを設立、父親とはまったく別の取引先を一から営業開拓し、今いる社員たちとともに頑張り今に至ります。会社が軌道に乗ったら、学校を出た選手たちに野球ができる環境を与えたい、うちの会社で野球を続けてもらいたいとずっと考えてきたんです。

一方で私が従事した、とび職、建設業という仕事は、閉鎖的で古い部分がたくさんありました。会社を運営するうえで、そういう部分も変えていかなければと思っていました。昔のとび職は個人の力で仕事をしていましたが、今はチームとして取り組んでいます。工事現場は安全のために規律化が進んでいます。

建築現場に適した新しい人材を求めていくうちに、野球出身者はこの仕事に向いているのではないかと思うようになりました。頑健なうえに鍛錬をすることの重要さを知っていますし、礼儀正しいし、規律も大事にする。会社設立13年目にして野球部を作ろうと考えたときに、選手は会社の『人材』にもなることに気が付いたんです」

トライアウトで待遇も詳細に説明

築山社長は全国1500校もの高校に電話をかけて、会社案内を送付するとともに、250校を直接訪問して、説明を続けてきた。当初は半信半疑だった学校側も、熱意にほだされて話を聞いてくれるようになったという。そして12月6日と15日、2回のトライアウトの開催にこぎつけたのだ。

集められた選手たち(写真:筆者撮影)

トライアウトに集まった選手たちは、球場内部の一室に集められた。ここで担当者から企業の説明を受けた。会社概要や業務内容など一通りの説明に加えて、待遇なども詳細に説明された。

選手へのバックアップも説明した。
・業界最高水準の給与制度
・業界最高水準の練習環境
・「エニタイムフィットネス」ジム費用を支給
・仕事場へは直行直帰、基本的に残業なし
・住宅補助(自己負担月額2万5000円)寮完備

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