ジム・ロジャーズ氏「バイデン政権暴落に注意」 米大統領選挙後の2021年、「要注意の年」が来た

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ロジャーズ氏は続けます。

「ドナルド・トランプ氏なら、それを遅らせる舵取りをするだろうが、バイデン新政権下では1〜2年のうちにベア相場が訪れることもありうる。歴史的に見ても、大統領選で支出が多くなった翌年は、何もなくても景気が冷え込むことが多い。要注意だ」

直近こそ株価が上昇して儲かっている人も少なくないかもしれませんが、資産運用が非常に難しい局面であることに変わりはありません。そんななかでロジャーズ氏は「『今のトレンドで最も割安な金融商品は何か』と聞かれたら、商品だと答える」「2021年以降は、買うなら断然商品のほうを買いたい」と言います。

ロジャーズ氏は以前から繰り返し「金と銀は株式相場が大崩壊するときに保険としてポートフォリオを守ってくれるので、誰しもが持つべきだ」と指摘していますが、これからは農業やエネルギーなどに関連した商品に注目すべきだと言うのです。「長期的に見れば、商品ほど儲かっている資産は少ない」という理由からです。

「拙著『商品の時代』の中でも述べたが、株式と商品の価格変動には、逆の相関がある。チャートを見れば、18年程度のサイクルで両者が変化していることがわかるだろう」

つまり、たとえ株式相場が行き詰まってしまったとしても、商品相場で儲けることが可能だと言うのです。もし株式と商品と両方に投資をすることができれば、武器を2つ持っていることになると言います。

「商品」というと、よく大失敗をした人の話がセンセーショナルに伝えられるので「とんでもない」と思われがちです。しかし現在はETF(上場投資信託)やインデックスファンドにもなっているので、先物取引ができない人でも、比較的簡単に投資ができると言います。

強気相場ではなく、弱気相場を追いかけよ

ロジャーズ氏は投資で成功する秘訣は次のことだと言います。

『大転換の時代』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「私が投資家として成功したのは、いつもブル(強気)相場ではなく、ベア相場を追いかけてきたからだ」

「成功をするための秘訣としては、常に割安な対象を自分で調べて見つけ、よい変化があったら投資をし、機が熟して上昇するまで辛抱強く待つことだ」

2021年は波に乗りながらも、ポートフォリオ(所有資産)に「保険」をかけるなど気をつける必要がありそうです。

例えば下落時に利益を得ることができるプットオプションを利用したり、高くなりすぎている資産にを少し売却して、割安な資産になっている商品などを加えて分散投資をするなどといった手法が考えられます。

ロジャーズ氏の教えは、大海を航海するうえでのコンパスのような存在です。資産運用や世界の流れを読むうえで、皆さんの手助けになれば幸いです。

花輪 陽子 ファイナンシャルプランナー

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はなわ ようこ / Yoko Hanawa

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、東京とシンガポールでセミナー講師など幅広い活動を行う。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書) 、『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。花輪陽子オフィシャルサイト 海外に住んでいる日本人のお金に関する悩みを解消するサイトも運営。まぐまぐ「花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編」も。

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