2万人調査でわかった「子どもの本当のつらさ」 コロナ禍で何が起きているのか

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第3回目のアンケートによれば、子ども全体では73%の子どもになんらかのストレス反応が出ていました。また、第3回では、あらたに「学校に行きたくないことはある?」という質問を追加しました。その結果、小学4年〜6年生では「いつも」と回答した子が8%。「たいてい」は4%、「ときどき」は19%に。すべてあわせると、3人に1人が「学校に行きたくない」と回答しています

新型コロナ以前から「学校へ行きたくない」と思っていた子がどれだけいたかは、データを持ち合わせていないのでわかりません。けれども、3人に1人が学校に行きたがらない現状は、さすがに高いと言わざるを得ず、子どもの気持ちを考えた手を打つことが必要でしょう。

子どもたちのストレス反応のなかでもっとも印象的だったのは、大人たちへの不満が噴出している点でした。「親のスマホ時間を減らしてほしい」「僕たちの知らないところで、勝手に子どもの行事をなくすのはおかしい」「一度黙って、子どもの話を聞いてほしい」などなど、小さい子は短い文章で、大きい子は理路整然と、心に突き刺さる声を寄せてくれたのです。

また、同じ質問を親と子のそれぞれに投げかけても、子どもの思いと親の認識にズレがあるケースが多々見られました。新型コロナによってストレスにさらされている子どもが、さまざまなサインを発しているにも関わらず、親はそれをキャッチできていないわけです。

コロナ渦で生活が激変し、親自身も子どものこと、自分のこと、仕事のやりくりなどでいっぱいいっぱいです。子どももそれを感じ取っているからこそ、大人に話しかけるタイミングを見つけられず、言いたいことが言えない。聞きたいことが聞けない。子どもたちのメッセージからは、そういった苦しさも伝わってきました。

子どもの声を届けるために

アンケートの回答を終えたあとの最後の自由記載では、子どもたちからも保護者の方からも「今の自分をふり返ることができてよかった」というような声をたくさんいただきました。

「イライラしやすくなっていることを自覚した」という人。「誰にも聞いてもらえなかった悩みを吐き出せて、すっきりした」という人。「コロナのこういうところが不安だから、自分は今こうなんだと考えるきっかけになった」と書いてくれた方もいます。

このようなかたちでみなさんに貢献できているのなら、アンケートを実施した意味もひとつあったと言えるかもしれません。

私たちの今後の目標は、社会に対して「子どもたちからこんな声が上がっているよ」「こういうデータがあるよ」ということを、自分たちができる範囲で示しながら、いっしょに考えてくれる仲間を増やしていくことです。

子どもたちが大人に対して何を思い、感じているのかを聞いて、社会に届けるシステムは、これまであまりありませんでした。

じつをいうと、それにチャレンジしたいという気持ちは、『コロナ×こども本部』を立ち上げた当初からメンバー一同が共通して持っていて、今も変わっていません。

私たちは現在、新型コロナに特化したアンケートを実施しています。けれども、いつの日か「コロナ」をとり、『こども本部』の名で子どもたちの声を拾い上げるアンケートを実施したい。そして、少しでも多くの大人に届けていけるよう、チャレンジしたいと思っています。(了/聞き手・石井志昂、小山まゆみ)

■「コロナ×こどもアンケート」実施中
「コロナ×こどもアンケート」は、国立成育医療研究センター社会医学研究部とこころの診療部を中心とした研究者や医師有志が集まって行なっています。『不登校新聞』も協力団体としてアンケートの参加を呼び掛けています。
■半谷まゆみさんのプロフィール/(はんがい・まゆみ)。国立成育医療研究センター社会医学研究部研究員。東京大学医学部卒。同小児科入局後、特任助教を経て、2017年より現職。『コロナ×こども本部』プロジェクト立ち上げメンバーとして尽力。

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また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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